島根大学のLS後継組織
上記記事によれば、中小企業の従業員、公務員、医療福祉関係の従業員への法実務教育を行うとある。そして授業は夜間・土日に行われるという。
つまり、法律に関する夜間の1年制大学院を開設するということであろうか。
従来から法学教育についても夜間部は存在した。またかつては小樽商科大学において、夜間開講の短期大学部があり、それには法律の専攻も存在した。また社会人のリカレント教育は学部レベルよりも大学院レベルで盛んであり、夜間週末開講で一年過程というのは良いかもしれない。
ただ、ロースクールで行われているような法律実務科目を開講科目にするのだとすると、果たして上記の対象者にニーズがあるのか、疑問がある。民事法律実務は要件事実教育が中心だし、刑事法律実務は、そもそも上記対象者に必要か分からないし、ローヤリングや模擬裁判、リーガルクリニックなどは、それぞれ法実務に特化しない形で一般化するなら汎用的なものとなる可能性はあるが、それにはローで行われているものを大きく作り替える必要があるし、それを法律実務と呼ぶのは抵抗がある。
社会人に向けた法学教育ということであれば、意味があると思うが、ターゲットとした社会人の職種に適合的な内容のカリキュラムとする必要があり、法律基本科目よりも展開先端科目に属する科目をうまく組み合わせる必要がある。
例えば神奈川大学大学院法学研究科には社会保険労務士およびその志望者を対象とする大学院修士課程が存在するが、そこでのカリキュラムを、上記3つのターゲットにあわせて展開するのは、かなり大変なことである。
それだけやってもなお持続可能なニーズが見込まれるかどうかは、教育内容による受講生のメリットがどれほどあるかにかかっていることだろう。
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