lawyer:民事の当番弁護
この記事によれば、民事訴訟の被告や家裁調停の当事者になった人を対象とする初回のみ無料相談ということだが、司法統計の結果が踏まえられており、なかなかよく考えられた取り組みかもしれない。
2013年の司法統計によれば、簡裁民事訴訟のうち代理人がついた事件の中では、66%が原告のみ代理人ありということで、被告に代理人がつくことは稀だという。
それは大抵の場合、相手の言い分を全く認めて欠席するしかないからというのが従来からの理解だが、秋田弁護士会はそこが違うという。
秋田弁護士会によると、敗訴が確定した後、「突然、財産が差し押さえられた」「どういう手続きを取れば良かったのか」などと相談に訪れる人が後を絶たないという。事情を聞くと、法律の知識がないのに弁護士に相談しないで裁判に臨んだり、深く考えずに放置したりしており、「弁護士から助言を受けていれば、敗訴しなくて済んだケースもある」という。
過払い金のピークは過ぎ去ったわけだが、多くの欠席事件でも弁護士に相談すれば、原告の言い分をすべて認めるというだけでなく、それなりに適正な解決が望めるというのは本当であろう。
で、これは現に被告となった人たちにどうアクセスするか、アウトリーチの手法が問われる。
ホームページに載せて、あとは待っているだけというのでは、状況はあまり変わらない。刑事当番弁護の場合は捜査機関が教示することが必要であるが、民事訴訟の場合は、例えば裁判所が送達書類に一枚当番弁護士制度の案内チラシを同封すると言った方法が考えられる。
でもそれは直感的には中立性に反する感じがするので、裁判所が自ら行うということはまず期待薄だ。
とすれば、同じ秋田弁護士会所属弁護士は、原告側代理人となった場合は常に、被告向け当番弁護士制度の利用が可能である旨のチラシを訴状副本に付けるということでアウトリーチが可能になる。
しかしこれも、原告側の立場とは矛盾と言わないまでも微妙な関係にある行為なので、難しいかな。
やはり裁判所が協力するのが良いのだが。
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