jugement:録音録画されていない取調べの調書に信用性はない
「事故前に高速運転に興じていた」と自白したとする警察官と検察官作成の調書について、録音録画されていない取り調べ状況や誘導を理由に信用性を否定し、量刑に反映させた。
もう少し詳しく紹介されている部分には、次のようにある。
後藤裁判長は勾留中だった被告の供述調書に関し、不自然な言葉遣いなどから「誘導があったとうかがわれる」と言及。取り調べた警察官の公判証言は信用できないとした。検察官の調書も警察官作成調書と「酷似している」とした。 被告は自動車運転過失致死容疑で送検されたが、危険運転致死罪で起訴されており、後藤裁判長は「裁判員対象事件となる同罪での立件が視野にあったにもかかわらず、取り調べが録音録画されていないため信用性を否定せざるを得ない」と述べた。
必ずしも録音録画されていないことだけをもって信用性を否定したのではなく、また一般的に録音録画が信用性の支えになると認めたものではなく裁判員裁判の対象となりうる事案で録音録画されていないことが信用性を否定する根拠としたという点に、留保が必要だ。
それでも、録音録画されていないことを理由(の一つ)に自白調書の信用性を否定した事例が出てきたということは重要だろう。
京都地判平成26年9月5日
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