googleを訴えるには日本法人ではダメ
実体問題としては、忘れられる権利にも関係する興味深い訴訟なのだが、グーグル日本法人を被告にしたことが問題となった。
京都市の40代の男性が、検索サイト「グーグル」に自分の名前を入力すると、過去の逮捕記事が示され名誉を傷つけられているとして、米グーグルの日本法人(東京)に、検索結果の表示差し止めと慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は17日、請求を棄却した。男性はヤフー(東京)にも同様の訴訟を起こしたが、京都地裁は8月に請求を棄却。男性は大阪高裁に控訴した。
判決理由で堀内照美裁判長は「サイトの管理運営の主体はグーグルの米国法人」と指摘。「日本法人に検索結果の監督義務や表示阻止義務を生じさせる法律上の根拠を認めることはできない」と判断した。
この場合、グーグルの米国法人を訴えるべきだとしても、その裁判管轄は日本に認められるであろうから、送達等に苦労することはあっても一応は日本で裁判ができる。
法適用に関しても、日本が損害発生地となろうから、日本法の下での裁判が期待できる。
ということで、グーグル本社を被告として更にチャレンジしていただきたい。
なお、学生に対してある債権の債務者をAと主張し、Aを被告にして訴え、その債権は存在しないとして請求棄却された場合に、同一の債権の債務者をBと主張して、再度、Bを被告にして訴えたら既判力にかかるかという問題を出すと、多くの学生が既判力にかかる、あるいは信義則上認められないという答案を書く。
しかし、Aには債権が成立しないがBには債権が成立するということは実体法上当然にあるのだから、当事者が違うのに無理に既判力が及ぶとしなくても良いし、信義則を持ち出す必要もない。
その典型例が上記のグーグル日本法人とグーグル本社の関係にあると思われる。
この判決は、民事訴訟の教材例にも使えそうなので、是非とも判決文がほしいところだ。
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