Book:虚ろな十字架
東野圭吾は人気作家だし、ハズレが少ないが、この『虚ろな十字架』も面白かった。
死刑という刑罰に意味があるのかどうか、一人娘を殺された父と母とが、それぞれに犯罪被害者遺族という立場でその後の人生を過ごすことの重さが伝わってくるといえるが、しかしストーリーは動きが少ない中でもドラマチックであった。
以下、ネタバレ含み。
一人娘を殺された夫婦のうち、母が殺されて、その謎・動機を解いていくところが全体のストーリーなのだが、その殺人犯の名前が「町村」というので、内心穏やかならぬ気分で読み進めた。
やがて浮かび上がる犯人・町村の娘とその夫との過去のしがらみがドラマを構成していくのであり、死刑の意義という当初の注目点は実は背景的な素材にすぎないことが明らかとなる。その辺りは、死刑問題そのものに興味を持って手にとった読者はモヤモヤが残るかもしれない。
しかし、一つ疑問。14歳の頃に殺人を犯し、30代半ばでそれが露見した場合、少年法の適用は受けるであろうが、その場合でも家裁に送致されるということであろうか?
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