www:早稲田ではコピペだらけの草稿でも博士号を認定していた
小保方さん問題のうち、早稲田大学で博士号を取得した論文にコピペがたくさんあるとされている件について、早稲田大学の調査委員会が、衝撃の発表をした。
報じられている発表の論理構造がよく分からない。
「多数の問題箇所があり、内容の信ぴょう性、妥当性は著しく低い。審査体制に重大な欠陥、不備がなければ、博士論文として合格し、博士学位が授与されることは到底考えられなかった」
この第一文は小保方さんの論文に対する評価なのだろう。問題は第二文。審査体制に重大な欠陥不備がなければ到底考えられないというのだが、後から読み返して信憑性・妥当性が著しく低いなどと断じられてしまうものを博士号に値すると評価したのであるから、要するに読まないで結論を出したということなのだろう。
もっとも彼女の論文は英語だったので、読めなかったのかもしれないが。
問題はさらにその次の部分で拡大する。
この理由について小保方リーダーが誤って下書き段階の論文を提出した過失によるものだ
過失で「下書き段階の論文を提出した」と認定し、上記の「審査体制に重大な欠陥、不備」があったと記されているところと合わせ読むと、早稲田大学の博士号授与体制は、下書き段階の「論文」でも博士号を与えてしまうくらい重大な欠陥、不備のあるもので、要するにろくに読まないで博士号を与えてしまうということなのかというわけである。
以上は上記の記事を読んだ限りの印象である。
早稲田大学の調査委員会報告書を読むと、故意の不正行為ではなく間違ってコピペだらけ(11箇所)の草稿を製本して博士論文として提出してしまったため、学位取消の要件を満たさないと言っている。
他方、コピペなど以外にも意味不明な箇所などがあり、それらを総合すると、到底博士号には値しないと認定されている。
ただし、そうした実質判断で学位を取り消すことは規則上できないとされているので、あくまで「不正行為」と学位授与との因果関係がなければならないとして、故意ではないから不正行為ではないし、不正行為だとしても学位授与とは因果関係がないといい、結論として学位授与を取り消せないとしている。
巧妙な論理かも知れないが、どう考えても筋が悪い。
小保方氏は、自ら、学位審査に提出した論文を「草稿」であり、別に完成品があると主張したそうだ。だとすれば、その学位審査の対象であった「論文」は彼女自身により撤回ないし取り下げられたと解すべきで、学位の取消処分ではなく、学位審査の不存在というべき状態になったというべきであろう。
その結果は、学位授与行為の無効にほかならない。それが筋というものである。
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