penal:死刑求刑に無罪判決、最高裁も支持
また一つ、人質司法が敗北した。
このケースは、供述証拠として被告人と被害者が一緒に歩いているのを見たという目撃証言と、被告人が被害者の持ち物について犯人しか知り得ない事実を供述したということが有罪の証拠となっていた。
しかし、いずれも長期間の取調べ過程の中で曖昧なものから具体的なものへと変遷したというのである。
昔なら、これを称して「記憶が蘇った」などと言われて、変遷した事自体も真実の証明みたいに言われていたところだ。
しかし。
同小法廷は決定理由で目撃証言について、目撃者の聴取を重ねるにつれて「特徴が被告と一致するように変遷した」と指摘。遺留品に関する被告の供述も「当初は曖昧だったが、長時間の取り調べで次第に具体的な供述に変わった」とした。
要するに長期勾留・長時間取調べの結果得られた証言は、誘導された可能性が高いというわけだ。
可視化の問題以前に、そもそもが中世並みの刑事システムと揶揄される長期間拘束による供述引き出しという操作手法自体が、信頼されていないということである。
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