LINE詐欺
署によると、六月二十六日、長浜市内の病院の男性事務員(23)と女性看護師(23)に対し、ラインで共通の知人の医師(36)を装い、電子マネーのプリペイドカードを購入し、購入カードの番号の写真を撮って送ってほしい旨のメッセージが届いた。 市内のコンビニで男性は十六万円分、女性は六万円分のカードを購入し、番号を撮って返信した。 同様のメッセージを受けた別の知人が男性医師に問い合わせて、アカウントの乗っ取りが判明、二人に知らせて発覚した。購入したカードは、すでに番号が打ち込まれ使用済みだった。
このように、最近盛んに報じられている典型的なケースのようで、長浜では初めてということだ。
先週は北海道内でも被害者がいたとして、NHKが報じていたが、まだ犯人が捕まったというニュースは見かけない。同一人物ではなく、多くの犯人がいるに違いない。
グーグルでも同趣旨の記事が各地に頻出している。
LINEで詐取、電子マネー22万円分 知人装い 日本経済新聞
LINE詐欺:男女2人が22万円相当被害 全国で相次ぐ 毎日新聞
田辺でも成り済まし LINEで電子マネー購入求める 紀伊民報大阪 LINEで電子マネー詐取相次ぐ 毎日放送
この件については、LINEなりすまし事件とセキュリティ保持義務にて、なりすまされた人の甘いパスワード管理に法的責任の可能性があることを指摘した。
それ以前の問題として、なぜこの件が新しいかということもノートしておく。
LINE利用が新しいということに集約されるかもしれないが、従来はなりすまされた人のIDを使ったオンラインバンキング不正引き出しとか、電子商取引サイトでの濫用的購入とか、要するにIDを盗まれた人の直接被害が問題だった。それ故、ID/PWの管理も、そのような財産取引ができるサイトが特に危険で、そういうサイトは3D認証を入れるとかワンタイムパスワードを入れるとか、それなりに対策をしてきた。
ところが、今回はそのような直接被害が生じるサイト以外のID/PWでも、財産被害が生じてしまうということが明らかになったわけで、これは盲点というか弱点を突かれた格好である。
もう一つ、LINEもSNSの一種だが、要するに仲の良い友達で比較的常時連絡している間柄だと、電子マネーを買って送ってくれという普通なら怪しい依頼も信用されてしまう。しかも、例えば職場の同僚とか同級生とか毎日顔を合わせる相手なら騙されないが、めったに会わない相手でも毎日会うかのようにメッセージをやりとりしている可能性があり、毎日会っているような親しさを覚えている。そういう間柄だと、突然金銭的要求が来ても、金額によっては気軽に応じてしまう。
オレオレ詐欺と同様に、親しいがあまり会わない相手からの依頼ということ、しかもオレオレ詐欺と違って多額ではなく電子マネーという気軽で送付もオンラインでできちゃうというところに罠がある。
これらと、パスワード使い回しのリスクの現実化であることや、個人情報漏えいの被害であること、そしてセキュリティ保持義務違反の具体化でもあることなどを合わせて考えると、結構ネットワークの最新状況に特有の詐欺形態ということができそうである。
追記: 以前この問題で取材を受けたときに、そもそも「情報漏洩ってあるんですか」的な質問を受けたことがある。耳を疑う気分だったが、あまりに多すぎて具体的にコレと指摘できない自分がいた。
ということで、今日報じられている記事を引用しておこう。
ホットマン(東京都青梅市)の件(朝日新聞サイト2014年7月6日07時02分)
同社によると、6月2日に業務委託先のクレジットカード決済会社から顧客のカード情報が漏れている恐れがあるとの指摘を受けて調査。何者かがサーバーに侵入し、サイトのプログラムを改ざんしていたことがわかった。4月29日以降、氏名、住所、電話番号といった顧客情報約6万1千件と、ネット通販の顧客のクレジットカード情報計560件が盗まれたという。同社はネット通販のサービスを停止。顧客には、同社のパスワードを他のサイトで使い回している場合、パスワードを変更するよう呼びかけた。問い合わせはフリーダイヤル(0120・22・0217)。
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