Bankruptcy:債務整理を得意とする弁護士法人が破産
なんとも皮肉というか、紺屋の白袴というのか医者の不養生というのか。
東京商工リサーチより
弁護士法人フォーリーフ法律事務所(TSR企業コード:300020228、港区赤坂1-9-15、設立平成24年11月26日、駒場豊代表)は6月25日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には内藤平弁護士が選任された。
負債総額は債権者約360名に対し約7800万円。
弁護士法人フォーリーフ法律事務所のウェブサイトは今でも見ることができる。おそらくもうすぐ見られなくなるので、画像をとっておこう。
今だから思うのかもしれないが、情報商材の詐欺サイトに似た感じで、やたらと目立つ大きな文字と縦長に長大なページ、それに無料・格安を強調するわりにいくら掛かるのかは全然分からないというサイトである。
それはともかく、(グーグルの辞書で「それはともかく」と入力すると「閑話休題」と変換される!)、法律事務所の倒産・破産となると、最大の問題は依頼者の預り金や事件の引き継ぎ、依頼者情報の散逸をいかに防ぐかという問題である。
預り金については、よく弁護士さんからちゃんと別管理しているから大丈夫だと言われるのだが、倒産するような事務所がそんなコトしてるものかと、ましてや依頼者ごとの口座をきちんと分けて完全に分別管理しているなんてことは全く望み薄なのである。
ちなみにフォーリーフの件も「相談者からの預り金を事務所経費に流用するなどの管理不徹底で債務超過状態にあることが判明」ということなので、預かり金が倒産隔離されるなどというのは夢のまた夢だ。
加えて、依頼者の情報が適切に守られるかは全く分からない。事務所にあるパソコンのディスクはどう処理されるのだろうか?
期待できる一番マシなやり方として、既存の情報をすべて消去し、価値があれば中古市場に販売、なければ大型ゴミとして出すということであろう。これではディスクを入手した者が情報を復元し、倒産処理を頼んだ顧客リストとして販売し、名簿屋からそれを買った連中が金儲け話とか債務チャラ話とかの詐欺電話をかけてくるとも限らない。
管財人がコストを掛けて記録されている情報の完全消去処理をするとは思えない。仮に異時廃止となればなおのことだ。
結局、処理が宙ぶらりんとなった依頼事件の承継とともに、終了した事件も含めて情報管理は依頼者の保護でもある。
この事後処理の責任は、所属する単位弁護士会やその協同組合などが引き受けるしかないように思うし、そのためには法律事務所倒産処理基金みたいなものを作っておく必要がある。健全な弁護士さんにとっては迷惑千万かも知れないが、通常の法律事務所倒産の場合は、処理継続中の依頼者について知り合いの弁護士さんが侠気で承継していたのが、そうした情誼的なやり方に頼れない以上、社会的な処理をせざるを得ず、それには結局自律的部分社会としての弁護士会の責任ということになるのである。
なお、フォーリーフの場合は既に別の弁護士さんが残務整理をやっていたので、その弁護士さんの責任できちんと処理されるのかもしれない。
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