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2014/07/15

arret:独立当事者参加による再審申立ても独自請求が必要

民訴新判例である。

最決平成26年7月10日PDF決定全文

会社解散の訴えについて、会社と原告とが馴れ合いで請求認容判決を得たと主張する株主が、民訴法47条に基づく詐害防止参加を申し立てるとともに、関与の機会を奪われたとして民訴法338条1項3号の再審事由があると主張して再審の訴えを提起し、本案については請求棄却を求めるにとどめた。

これに対して最高裁は、結論としては再審の訴えを却下する決定を下したが、その理由は、民訴法47条に基づく参加申し出に際して請求を定立する必要があるというものであった。

まず、確定判決の効力を受ける第三者が独立当事者参加の申し出をすることで再審の訴えの原告適格を取得するという点、これはごく最近の判例(最決平成25年11月21日(pdf決定全文))で新株発行無効の訴えに関して認められていたところであり、これが会社解散の訴えにも妥当すると判示している。

その上で、旧法時代の判例(最判昭和45年1月22日民集24巻1号1頁)を引用し、「独立当事者参加の申出は,参加人が参加を申し出た訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず,単に当事者の一方の請求に対して訴え却下又は請求棄却の判決を求めるのみの参加の申出は許されない」と判示する。

そして本件では、再審請求原告が単に原裁判の原告の請求を棄却するように求めたにすぎないので、そのような独立当事者参加申出は不適法であり、再審請求も原告適格を欠くので不適法であるとして却下するというわけである。

なお、記録中では相手方会社との関係で会社解散事由の不存在確認を求める趣旨の記述があるが、これでは事実の存否確認なので確認の利益を欠くため、結局独立当事者参加申出が不適法となることは代わりがないとも指摘されている。

これに対しては、金築裁判官が「意見」を書いている他、山浦裁判官が反対意見を書いている。
金築裁判官の意見は、詐害防止参加の場合に請求の定立を不要とする解釈もあり得るが、請求棄却を求めるのみであれば被告の地位を引き受けることとなり、それは会社解散の訴えの被告適格を有しない株主には認められないので、結局独立当事者参加申出は適法とはならないというわけである。

山浦裁判官の反対意見は、詐害防止参加の場合に請求の定立を不要とする解釈をとり、かつ金築裁判官のように被告適格が会社に限られているという点は、会社解散の訴えが少数派株主から会社へ提起されることを予定し、かつその場合は多数派株主には会社を通じて訴訟に関与する手続保障が存在するのであり、本件のような少数派株主が会社解散の訴えの提起も知らされないまま馴れ合い訴訟の判決の効力を及ぼされる場合を予定していないから、会社解散の訴えの被告適格を会社とする規定があっても請求棄却を求める詐害防止参加を否定するのは適当ではないという。
その上で、本件再審請求には理由があるから、原決定を破棄して差し戻すべきだとしている。

なお、山浦裁判官は、多数意見のように請求の定立を必要とする場合であっても、補正の機会を与えるべきであり、そのために差し戻すべきだったとしている。

山浦裁判官の反対意見のうち、会社解散の訴えの被告適格を会社とする規定の趣旨が少数派株主からの訴えだからとする部分は、多数株主による会社解散の訴えが排除されていない以上、論理的には難しい。
しかし、補正の機会を与えるべきだったというのは妥当である。

ただし、会社解散の訴えが提起された場面において、少数株主がどのような請求を定立できるのか、解散事由の不存在確認がダメだとすると、では会社解散請求権(形成権)の不存在確認と言い換えればよいのか、それもダメならどのような請求があり得るのかと、そちらの方が疑問である。

結局のところ、請求を定立しない独立当事者参加申出を適法と考える以上、その実質は共同被告の地位を引き受けることではなく、被告側に共同訴訟的補助参加人として関与する地位を認めることにほかならないのであるから、被告適格は不要と論じるべきだったのではあるまいか。

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