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2014/06/30

consumer:また高利貸がはびこり多重債務者が増大するか

民主党政権に比べると、自民党政権は消費者政策に熱心だと思っていたが、油断するとこういう動きが出てくる。

消費者金融の規制緩和=「認可業者」に上限金利29.2%―自民党が貸金業法改正案

無担保ローンは必然的に貸し倒れリスクが高く、高金利にならざるを得ない。しかし他方で高金利の貸付は借入金に期待される利回りが金利をカバーできず、借り主が貧困のスパイラルに陥り、多重債務となった挙句に破綻するババ抜きゲームとなる。
これを抜本的に改めて、金利上限を本来の利息制限法レベルにまとめると共に、貸出の際の総量規制で貸しすぎを防止する立法がなされた。

その効果は抜群で、個人の破産件数は減少の一途をたどり、倒産処理の全体の件数も激減している。多重債務問題は完全解決とは言わないまでも、劇的に改善されたと言ってよい。

ところが、その立法が改悪されようとしている。

一定の条件を満たす貸金業者を「認可貸金業者」と認定。認可業者に限って、上限金利を貸付金額に応じて15~20%に制限している利息制限法の適用から外し、2010年まで有効だった29.2%に戻すのが柱。認可業者は、個人の総借入額を年収の3分の1以内に制限する「総量規制」からも除外する。

 自民党は貸金業法の見直しを、財務金融部会の下に設けた「小口金融市場に関する小委員会」(小委員長・平将明衆院議員)で検討。今秋の臨時国会に議員立法として同法改正案提出を目指す。

自民党の改正案概要によると、認可業者の要件は(1)貸金業務取扱主任者が営業所・事務所ごとに一定割合以上いる(2)研修体制の整備(3)過去3年間に業務停止命令を受けていない(4)過去5年間に認可を取り消されていない(5)純資産額が一定以上(6)返済能力調査やカウンセリングなどの体制整備―などと定める。

この抽象的な記事のレベルではよく分からないが、返済能力調査の体制整備ということを要求しているということは、収入状況から返せなくなる状況の借り主には貸さないということが期待されているのかもしれない。
そうであれば、一歩進んで、返せなくなった暁には、貸し手責任(レンダー・ライアビリティ)を負い、返せなくなった分の債務免除を義務とするのみならず、仮に返済のために他の高利貸やヤミ金などに手を出してしまえば、それらの借入により負った借財と金利負担の被害について最初の貸し手が責任を持つということにすべきだ。

このような責任を伴うとしなければ、返済能力調査のインセンティブが生じないし、ババ抜きで逃げ切れば良いという発想から抜け切れないであろう。

ともかく、多重債務者を発生させるメカニズムは野放図な高利貸しを許していることにある。それによって経済的に破綻すれば、経済的な再出発は困難となり、生活が困窮して生活保護に頼らざるをえない。
高利貸を復活させれば、安倍政権が嫌う生活保護受給者を増大させることは火を見るより明らかだ。

そうしないためには、過剰な借金を負うことを未然に防ぐか、貸し手責任を厳しく設定して返済不能状態を作り出してしまった責任を貸手に負わせるしかない。
そのいずれもせずに、発生した多重債務者が行き着く生活保護は水際作戦で給付をケチるということになれば、もう死ねというに他ならない。

そのような政策を採ってよいか、今一度考えなおしてほしいものである。

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