class action 集合訴訟の可能性
「手かざしで病気を治すことができる」と称して有料セミナーを開いていた「アースハート」(福岡県篠栗町)の脱税事件で、法人税法違反(脱税)罪などに問われた元社長(66)に対し、福岡地裁は29日、懲役2年(求刑・懲役3年6月)を言い渡した。
代金返還請求も起こされていると紹介されているが、こういうケースは消費者裁判手続特例法の適用対象となり得る。
消費者裁判手続特例法の適用対象は、同法3条に以下のように規定されている。
契約上の債務の履行請求(1号)
不当利得にかかる請求(2号)
契約上の債務の不履行による損害賠償請求(3号)
瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求(4号)
不法行為に基づく損害賠償請求(5号)
このようなインチキ宗教のケースは、すべからく公序良俗に反して無効であり、不実告知や詐欺で取消可能であり、あるいはその契約させる行為それ自体が不法行為と評価できるものである。
従って、少なくとも支払った代金分は、利息年5%をつけて返してもらう権利が被害者全員にあり、その共通の義務を確認してもらう訴訟に乗りやすい。
しかし損害の回復は、仮差押を経るとしても、なかなか困難が予想される。被害者への代金返還と税金とでは、税金が優先されてしまうかもしれない。
最低でも警察が動く前に金返せという訴訟を完結させないと、返すに返せないことにもなりかねないし、その段階ではまだインチキと断定することが社会的に難しかったりするので、いつから訴え提起が可能となるかは実はタイミングが難しい。
でも被害が大規模に顕在化する前の段階で、問題提起を兼ねた訴え提起が、共通義務確認の訴えではできそうである。
現在、共通義務確認の訴えの具体化のための最高裁規則や担い手の特定適格消費者団体のあり方を決めるガイドラインや下位法令作りが進んでいることと思われるが、それらの規則では、こうした事案なども念頭に置いて、いかにして効率的にこういうインチキ宗教商法の責任追及ができるようになるか、その基盤を整備する方向での議論が期待される。
現実には濫訴を抑える方向ばかりが議論されているように思うのだが、悪質商法、インチキ商法などを少しでも減らす方向での検討を各方面に期待したいものである。
| 固定リンク
「消費者問題」カテゴリの記事
- consumer:消費者庁の徳島移転、まだ諦めてなかったの?(2019.02.12)
- event: #消費者スマイル基金 1周年記念シンポ(2018.10.27)
- Book:大学生が知っておきたい消費生活と法律(2018.10.09)
- consumer:日本版クラスアクションの法制定効果(2018.09.30)
- Guy Raymond教授との面会(2018.03.09)
コメント