タイの憲法裁判所vs.タクシン党政権
タイの憲法裁判所が首相の失職につながる不正を認定し、波紋を広げている。
2011年に当時のタウィン国家安全保障会議(NSC)事務局長を首相顧問に異動した閣議決定が権力乱用で違憲だとして、前上院議員が訴えていた裁判で、憲法裁判所は7日、この人事を承認した閣議に出席していたインラク首相と閣僚9人を失職とする判決を下した。
これだけ読むと、タウィン氏の登用が職権濫用の優遇人事だったようにも読めるが、そうではないようだ。
上記記事の続きにやや詳しい経緯が書かれている。
インラク首相の失職の原因となったタウィン氏の異動は首相の元義兄にあたるプリアオパン副警察長官を警察長官に昇進させた人事の玉突きで、これにより当時のウィチアン警察長官がNSC事務局長に転任し、タウィン氏がポストを失うこととなった。タウィン氏は異動後、不当な人事だとしてNSC事務局長への復職を求める裁判を起こし、勝訴。今年3月25日にNSC事務局長への復職が閣議決定された。
要するに別の親族の登用が問題の核心のようである。
それにしても、憲法裁判所が介入することももちろんだが、政治任用ポストの人事に裁判所が訴訟で決着をつけるということ自体、日本との大きな違いを感じざるをえない。
日本でも、不当解雇とか不当配転などの労働事件は裁判所が扱うが、そういうレベルではない。
関連ニュースにはこういうのも。
政府支持派の市民は9日、タイ各地で憲法裁判事9人の写真を棺に入れて燃やし、判決に抗議した。憲法裁判事の「葬儀」が行われたのは東部パタヤ市、北部スコータイ県、ラムパン県、ナーン県、中部パトゥムタニ県、アユタヤ県、東北部ナコンラチャシマ県など。
不覚にも、中学高校のいじめの手法で標的のお葬式ごっこをするというのを思い出してしまった。
気に入らない判決を下しそうな裁判官を標的にサリンを撒いた松本事件のオウムとか、気に入らない土地収用を決めた千葉の収用委員を襲撃した成田空港反対闘争過激派とかよりはマシかもしれないが。
いずれにしても、裁判所が政治的闘争の場に身を投じなければならないことのリスクを表すエピソードではある。
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