NETと人権侵害
この土曜日は奈良先端科学技術大学院大学NAISTにお邪魔し、表記のお題でお話をさせていただく。
人権教育の先生たちに対してということなので、具体的な事例はむしろ教えてもらう必要があるかもしれない。私の話す内容は以下の通りを予定している。
1.インターネット上の人権侵害の諸相
昔からある差別表現の氾濫や、現実社会の部落差別にネットが利用されている現状、そして最近特に目立つヘイトスピーチの問題を取り上げる。
ここには法的対処の限界がある。
2.ネットいじめと対策
ネットいじめは、リアル社会でのいじめにネットが格好の武器として使われているという問題であり、世界的にも問題が起こっている。
特に最近の傾向としては、コミュニケーションツールとスマホの普及で、いじめられる側が追い詰められたり、あるいはグループ機能の利用が新たないじめの芽となりやすい事態が生じている。
これには青少年インターネット利用環境整備法の下でのフィルタリング利用や啓発といった対応がさられているが、ネットだけで対応することはできない問題である。
3.ネットの炎上事件
企業が標的となる場合もあるが、ここではいわゆるバカッターと身元の追及という個人を標的にした事例を取り上げ、身元追及が可能となる条件としてSNSの普及を挙げる。
集団行為の脅威や、身元が明かされてしまった場合の後遺症は重く、法的対策が是非必要なところだが、ここでも、炎上騒ぎを起こすおバカな人を責める方向の話が多く、炎上それ自体に対する法的対策は貧弱である。
最後に、法の支配の限界と題して、匿名性、超国境性、多極分散性に法執行が覚束ないことを説明し、じゃあどうするという話をする。この最後の最後の部分はまだ考え中だ。
| 固定リンク
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- 【AD】電子証拠の理論と実務[第2版]がでました。(2021.11.20)
- ゼンリンのやらかし問題(2021.11.14)
- 最近買った本:フェイクニュースの生態系(2021.10.14)
- 誹謗中傷なのか?(2021.09.02)
- Book:新刊のご案内『民事裁判手続とIT化の重要論点ー法制審中間試案の争点』(2021.08.12)
コメント