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2014/03/27

mediation:調停事件統計の続きとフランス語

先週のセミナー@Poitiers大学で控訴院院長先生からmediationについても知りたいとリクエストが有ったので、明日の報告は急遽、そちらも混ぜることになって色々日本やフランスのことを調べている。

mediation:調停事件数推移の不思議で指摘した簡裁調停事件の激減ぶりは、どうやら多重債務者の特定調停が激減していることによるものらしく、過払い金請求のバブルと崩壊と並んで、わが国の多重債務問題がかなり抜本的に解決されつつある証左ともいえそうだ。

それはともかく、最近の民事調停法17条決定の活用ぶりは眼を見張るものがある。
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この2つのうち、左ないし上のグラフは地裁調停の終結別割合で、右ないし下のグラフは簡裁調停の終結別割合である。succèsと示したのが調停成立、赤のdesaccordは不調、そしてdécisionというのが17条決定だが、地裁は顕著に17条決定が多い。対して簡裁は、三者が拮抗している。

事件種類で見ると、簡裁で17条決定が特に多いのが特定調停で、67%と約3分の2に及ぶ。対して特に17条決定が少ないのが宅地建物3%、交通事件2%。その他は数が少なすぎるので参考にならない。

交通事件は、事実関係に争いがなければ判例の基準に沿った和解調停が成立しやすく、事実関係が争いとなっていれば合意は無理で、事実認定に限界のある調停では解決できず、17条決定にもなじまないということなのであろう。宅地建物も同様か?

対して特定調停が17条決定に多く傾斜しているのは、法的基準を受け入れようとしない無駄な抵抗が多いということなのかもしれない。
追記:この部分についてFBで以下の様な指摘を頂いた。少々うかつであった。

簡裁の特定調停は、申立人が自分の住所地を管轄する裁判所に申し立て、裁判所も移送せず自庁処理をすることが多いため、相手方である業者側は調停期日に出頭せずに電話を通じて条件を詰め、合意ができても17条決定に頼らざるを得なかったのです。

地裁の17条決定は、一般と商事についていずれも多く、それ以外は絶対数が少ないので参考とはならない。

さて、こうしたことをフランス人に説明するのだが、médiationとconciliationとの違いについて改めて調べてみた。
DallozのEncyclopédia ProcédureのMédiation et Conciliationという項には、次のように定義されている。

Conciliationとは、第三者の助けを得て、または当事者だけで、対立している紛争の平和的な解決に到達するために、双方の観点を近づけようと試みるという、合意に基づく紛争の友好的解決方法である。(n.173)
これに対してmédiationとは、第三者が、当事者間の意見交換手順を通じて、当事者双方の観点を近づけることを可能にし、第三者の援助により対立点の平和的解決を見つけ出すよう試みるという、合意に基づく紛争解決方法である。(n.177)。

この2つ、文言的には第三者の介在が必須なのがmédiationで、また合意点を見出すように努める作業まで入っているのがmédiationのように読める。従って、conciliationはフランス語的にはmédiationを含む広い概念で、médiationはその中で第三者が解決に向けた積極的な役割を引き受けるものということになる。

わが国の調停委員会による調停は、この点で、médiationとやっても問題はない。conciliationの訳語として適切なのは、あっせんということになるか、あるいはもっと広く、和解という方が良いかもしれない。

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