民訴教材:売却不許可決定の例
朝鮮総連関係では、権利能力なき社団に関する民事訴訟上の取扱いとか、教材のネタになりそうな金城湯池であるが、またまた新たな教材適合事例が出た。
NHK:総連本部の落札 認めない決定
01月23日 13時55分
競売にかけられた朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会の中央本部の土地と建物について、東京地方裁判所は「モンゴルの企業が出した文書はカラーコピーの疑いがあり、国の認証もない」と判断して、売却を認めない決定をしました。 決定が確定すれば入札は無効になり、今後、3度目の入札が行われます。
参照すべき条文は以下の通り。
民事執行法
(売却決定期日)第六十九条 執行裁判所は、売却決定期日を開き、売却の許可又は不許可を言い渡さなければならない。
(売却不許可事由)第七十一条 執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。
一 強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
二 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
ところで強制競売についても、いわゆる三振制がとられている。
(売却の見込みのない場合の措置)
第六十八条の三 執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。
今回の入札は二回目なので、次が原則として最終チャンスということであろうか。
追記:Twitterでご指摘を受けたが、報道では次順位買受申出人がいたようであり、また買受け申し出がなかったという要件は当てはまらないので、三振アウトにはならないかもしれない。この点訂正しておく。
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