consumer:消費者団体による差止請求活動
1月27日の札幌を皮切りとして全国9会場で実施されるevent:差止請求事例集解説セミナーに先立ち、適格消費者団体の差止請求活動の現状について少し整理しておこう。
まず、適格消費者団体とは、消費者契約法13条以下に定められた、内閣総理大臣の認定を受けた団体であり、「消費生活に関する情報の収集及び提供並びに消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的」とするNPOまたは一般社団法人もしくは一般財団法人である。
この適格消費者団体は、以下の様な差止関係業務を行う。
・不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使する業務
・当該業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集
・消費者の被害の防止及び救済に資する差止請求権の行使の結果に関する情報の提供に係る業務
ここでいう差止請求権は、以下の法律により定められている。
・消費者契約法12条
・特定商取引法58条の18から58条の24
・景品表示法10条
さらに、まだ施行されていないが、食品表示法11条でも食品表示基準に違反した表示行為の差止めを請求できる旨が規定されている。
これらの差止請求権は、もちろん裁判により請求することができるのだが、裁判外で事業者と交渉することにより不当条項や不当勧誘行為、不当表示、特定商取引における法律違反の中止を求めることができる。
今回の差止請求事例解説は、訴訟となったもののみならず、裁判外で請求して改善がされた事例についても紹介する。
件数的には、111件の事例が昨年7月までに改善された例として蓄積しており、改善された不当条項や不当行為等の数は301件になる。同一の行為や条項に複数の法律を根拠とした差止めが求められていることもあるので、根拠法令の延べ数は301件だが、行為・条項の数としては244件となっている。
今回の解説事例集と解説セミナーでは、これらの改善事例が一挙に公開されるのだ。
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