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2013/12/01

politique:タイの首相と日本の自民党幹事長

石破氏は、特定秘密保護法案の実現にことのほか熱心のようだが、これに抗議する人たちがよほど気に入らないようで、自身のブログでデモのような絶叫戦術はテロと本質的に同じだと断じた。

今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。  主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。

これと前後して、日本よりもよほどひどい反政府デモに見舞われ、政府機関の一部選挙にまで至っているタイにおいて、デモが攻撃目標としている首相自身が次のように述べたと報じられている

【バンコク時事】12月中旬に訪日を予定しているタイのインラック首相は30日、首都バンコクで日本人記者団と会見した。反タクシン元首相派による官庁占拠など大規模な反政府デモで混乱が続いている状況について、「平和的なアプローチと交渉が争いを解決する方法だと信じている」と述べ、デモを力で封じ込める可能性を否定、対話による問題解決を目指す意向を改めて強調した。

状況も歴史もデモの規模も対象も全然違うので、単純比較をするつもりはないが、石破氏の「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」という発言のひどさを際立たせるエピソードだ。

アメリカでもフランスでも、選挙と議会による民主主義を基本的理念としている。日本の政府要人もしばしば基本的価値観を共通にすると述べて、民主主義と基本的人権尊重という点では日本も欧米流価値観と共通だという。
しかし、そのアメリカでもフランスでも、デモは正当な民主主義の一つの装置として尊重される。石破氏が絶叫戦術として忌み嫌う「声を上げる」という行為は、人々が自身の政治的意思を明らかにし、他者に賛同を呼びかけて政治的な動きに結びつけようとする点で、むしろ民主主義の根源的なあり方でもある。

もちろん、デモで叫ぶ中身には賛否両論があり得るし、受け入れられない主張を叫ぶデモは、その中身を批判するにとどまらず、デモ行為自体を批判したくもなる。いわゆるヘイトスピーチのデモはその最たるものだ。
ヘイトスピーチになると、脅迫的言辞を弄するものは論外としても、人種民族差別を呼びかけるものは民主主義自体の自己否定であるとして、禁圧するという姿勢をとる国もある。いわゆる闘う民主主義というわけだ。

かくして、民主主義という価値観の中でも、矛盾の芽はあるのだが、それにしても今日本で行われている反原発や反特定秘密保護法案デモは、政治行動としてまともなものであって、主張として賛同するかどうかは別として、その方法をテロと本質的に同じなどと誹謗するものでは全くない。

これからも欧米流(のみならずタイも含む)の民主主義と基本的人権尊重という基本的価値観を共にしていると自称するつもりなら、石破氏は心を入れ替えることが必要である。

追記:石破氏の素早い対応に、別エントリ(politique:石破氏の訂正とおわび)で感想を述べた。

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