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2013/11/12

お勧めの法律書百選(作成中)

くすみ書房のクラウドファンディングにより、お勧めする100冊の法律関係書の候補を列挙して行く。ご意見・ご提案はコメント欄やTwitter、Facebookなどでお寄せいただきたい。

やはり法律書といえばこれ、ということで有斐閣のいわゆる六法全書である。一般には、法律家はこれを全て知っているとか、法律の勉強はこれを暗記することだとか言われているが、ほとんどの法律家はこの六法全書の内容の1%も知らないだろう。六法の調べ方を知っていることで十分なのである。

 

小説では枚挙にいとまがないかも知れないが、一応これ。宮部みゆきの本だけでも沢山推薦したいが、私的にはなんといっても多重債務問題に関する『火車』がイチオシだ。
また海外モノもきりがないのだが、ポール・ニューマン主演映画となった『評決』を一番に推したい。ジョン・グリシャムの作品の中では、私は『路上の弁護士』が一番好きだ。中学生向けということだとこれ、とFB友達からは『少年弁護士セオの事件簿』を勧められた。中学生ならずとも面白そうではないか。

多産だった和久峻三というと『雨月荘殺人事件』がFB友達により「調書風の作りになっていて、これも学生時代にわくわくしながら読んだ思い出があります。」と言われているほか、『沈め屋と引揚げ屋』 (1979年) (角川文庫)を、FB友達と私とが偶然一致して挙げた。しかし、いかにも古い。

この三冊はブログコメントで紹介していただいた。
大岡昇平の『事件』「日本の文豪が訴訟や法律をテーマとして扱うことは他の国とくらべてみても特に少なく、大岡昇平の「事件」は初めて文豪が正面から訴訟や正義を扱った物として出色の物だと思います。
特に推理小説の業界では裁判の合議を初めて扱ったものであるという評価を受けています。
そして、この本の一層素晴らしいところは法律用語や手続き等の描写が正確である、という点です。
裁判の合議は今もなお裁判官のみぞ知るブラックボックスのようなものですが、本書での合議や裁判官の訴訟指揮については裁判官出身の研究者である伊達秋雄法政大名誉教授が、法律用語や訴訟手続きについてはのちに最高裁判事となる大野正男弁護士が監修しました。
長尾龍一先生の書評にもある通り、大岡昇平の根拠を追求する性格も法的手続きの描写に見事にマッチしており、日本のリーガル・サスペンスものとしては今なお最高傑作の地位にあると私は思います。」
ヘンリー・デンカー 中野圭二訳『復讐法廷』「ミランダ準則や違法収集証拠排除法則が果たして正義に適うか、ということについて重大な問題提起をした小説です。著者は弁護士であり、法廷の描写の正確性は担保されています。」
ロバート・トレイヴァー『裁判』「意思能力の無い者をいかに裁くかという今なお重要な問題をテーマにしており、一般人にも法律関係者にも薦めたい本です。
本書の著者は弁護士、検事、州最高裁判事という極めて法曹としての経験が豊富であり、本書も全米ベストセラー連続38週第一位を占め、アメリカでは法廷小説の最高傑作と呼ばれています。
上述の大岡昇平「事件」は本書をモデルにしたものである、と本書の解説で大岡昇平が明言しています。」

・FB友達に教えてもらった本で、周防監督が映画化した、『終の信託』。作者は朔立木。「映画はみてませんが、一般人が法を考えるには良いとっかかりになりました。小説なので読みやすい。」とのことである。
・『ハーバード・ロースクール』も別のFB友達の推薦で「『推定無罪』のスコット・トゥローが自らのロースクール体験を描いた自伝的小説。畑違いの法律学の世界に飛び込んだ主人公の困惑、厳しい教授、友人たちとの友情、そして裏切り。わが国で法科大学院が作られる過程で、私がものを見、考える「物差し」にしていた本です。」(高瀬文人さん・編集者・ライター)
・さらに『12人の怒れる男たち』もFB友達の推薦で、映画の脚本だ。「2000語ぐらいでこれほどエキサイティングな話を読めるとは思わなかった本。 映画観てたからこそ読めたのかもしれないけど法学部系進学の背中を間違いなく押してくれた「法律書」だと思う。」とのこと。翻訳は→十二人の怒れる男

 

・漫画では、一世を風靡したといっても過言ではない『家栽の人』と、世間的にはあまり有名でなかったが、私的に好きだった『あんたの代理人』とを挙げる。
・加えてFB友達推薦による『裁判員の女神』。最初の巻だけしか読んでなかったが、裁判員創設時の企画としては良いものだった。原作は『家栽の人』と同じ毛利さん。
・FB友達からはもう一点、『はみだしっ子』が推薦された。曰く「この作品夭折した筆者が法と倫理に結構こだわりを持っていて作品をつむぎだしてた印象が強いです。わが子たちにも早くから勧めてますし、企業で仕事やりながらやってた非常勤の授業の時には法学部の学生たちにこういう視点で法律を考えてみると世の中の見え方が変わるかもしれないよと勧めておりました。神奈川大の金融法の授業なのに(苦笑)。 
「ブルーカラー」というお話あたりから、正義とは何か、自己否定と自己主張とは何か、を裕福な家に養子で迎えられた主人公たちと彼らと対立するブルーカラーの子どもの刑事裁判での葛藤を実にうまいプロットで実に印象深く描出しております。葛藤の根っこには小さい頃に四人のメンバーの一人が雪山でのみなの遭難時にこどもながら無意識に引き金を引いてしまいある人物をあやめてしまうというエピソードから一番年長のグレアムという男の子がこれをどう自分と仲間と家族の仲で止揚していくかという太い線が最後までつながっていくことになります。
作中、相手方の切れ者弁護士の名前がフランクファーターという名前になっているのも学部生時代に読んで大いにウケたものです(笑)。
ちなみに私はグレアムにはものすごく影響を受けましたが、性格的には軽佻浮薄の極楽蜻蛉を自称するアンジーに性格は似たいと思い、実際はサーニンに一番近いと細には言われております。
先生、未読ならぜひという「法律書」的作品であります。」
あと、FB友達が「ぜひ」というので『弁護士のくず』シリーズも載せておこう。この全10巻に続いて、現在は第二審と銘打ってセカンドシーズンが出ている。この漫画のテーマは、わりと男女問題、家族問題や少年問題が多いという印象がある。しかし、著作権法的にも、このマンガ自体が著作権侵害だとして訴えられて勝訴したという経緯があり、その点でも興味をひかれる。

 

その2に続く。

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コメント

2003年以降の法改正でイギリスの刑事司法もずいぶんかわっていてクリスティの一事不再理でいったん無罪になったらもう訴追されないし検察官控訴もない、という「検察側の証人」「スタイルズ荘の惨劇」などはこれが前提、ことはなくなってしまいました。
アレックス・マックブライド作 高月園子訳「悪いヤツを弁護する」亜紀書房2012年は現在を理解するのにおすすめ。

投稿: 岡本哲 | 2013/11/17 02:08

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