PIO-NET情報にみるネット消費者トラブル
国民生活センターは昨日、11月29日付けで各地消費者センターから入力された消費者相談データベース(いわゆるパイオネット)の集計を更新した。
そのうち、インターネット・電話関係の相談を見ると、ネット関連の消費者トラブルの趨勢が垣間見えて興味深い。
このグラフは、2010年から2013年までの4年間にPIO-NETに入力された相談を以下の通り分類した数字からグラフ化したものである。なお2013年は、国センの資料では10月末現在の数字が前年同期とともに記載されていたので、これを使って2013年度末を私において推計した数字である。
スマートフォンに関連する相談
スマートフォンを利用したデジタルコンテンツに関する相談件数
オンラインゲーム
出会い系サイト
うち収入や利益が得られる等と誘導された「利益誘引型」
アダルト情報サイト
インターネットオークション
インターネット通販
アフィリエイト・ドロップシッピング内職
とりあえずこのグラフから分かることは、ネット関係の消費者トラブルの大部分がネット通販関係で占められ、しかも増大傾向にあること、アダルト情報サイトをめぐるトラブルも通販一般に次いで多いが、他方でスマートフォンを利用したコンテンツ関連のトラブルも急増しており、この中にはアダルトコンテンツ関係や出会い系関係なども含まれているものと思われる。
なお、スマートフォンに関する相談とは、「通話料・パケット料、機器や通信サービスの品質など、スマートフォンそのものに関する相談件数」で、スマホ普及にあわせて相談件数が増加した。
また、スマートフォンを利用したデジタルコンテンツに関する相談とは、「スマートフォンを利用した有料サイトからの料金請求など」ということで、この中にはアダルト情報に関連するものも相当数含まれているであろう。
以上がメジャーな消費者ネットトラブルの分野である。
いわゆる出会い系サイトにまつわるトラブルは、上記のグラフでは中途半端なところにあって見づらいが、2009年に33,486件だったところが2010年に28,540件、2011年26,416件、2012年が21,100件と、数は多いものの減少傾向にある。そのうち「お金をあげる」などの利益誘導型は、2011年まで増加していたが、それ以降減少に転じている。
数としてはマイナーながら、ネットならではとも言えるトラブルとして、ネットオークション、オンラインゲーム、そしてアフィリエイトやドロップシッピングなど、C2Cの世界のトラブルも注目だ。もちろんC2Cといってもトラブルが消費者同士に発生する場合よりはC2Cの活動を提供する事業者とその利用者との間のトラブルが大半だが。
推移としては、オークションが低減傾向ながら一定水準を維持しており、対してオンラインゲームが増大傾向にある。アフィリエイトやドロップシッピングにまつわるトラブルは、元々数も多くはなく、しかも減少傾向にある。やはりマスとしての消費者が巻き込まれるものとしては少々特殊な活動分野なのであろう。
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