news:プロバイダ責任制限法の生みの親が首相秘書官に
戦後初の女性首相秘書官としてニュースになっている山田真貴子さんだが、情報ネットワーク法学会設立総会で行われたプレ研究会で同席していた。
Internet Watch:情報ネットワーク法学会、第1回研究会を開催
~“プロバイダー責任制限法”の現状は?
立法に直接携わった総務省総合通信基盤局利用環境整備室室長の山田真貴子氏より説明があった。同法では、Webページや掲示板でプライバシーや著作権の侵害を受けた被害者が、管理者に対して該当する情報の提示を求める「発信者情報の開示請求」について触れている。しかし、「管理者(プロバイダー)は第三者の立場なので事情が分かりにくく判断が難しい。免責事項が定められているので、迷ったら開示しない方がよい。必要なら裁判所を通すのが適切」だとした。さらに、発信者情報の開示請求は、指定法人などの第三者を通して行なう事も検討しているという。
この時、まだ亜細亜大学教授であった私も司会で参加していたが、山田真貴子さんのきっちりとした説明を今も覚えている。
その後10年以上を経て、プロバイダ責任制限法はネット選挙解禁に伴う手直しのほかはガイドラインや下位法令による微修正だけで、本体は不変である。昨日もこの法律に関連する判例のまとまった検討をする機会があったが、プロバイダと被害者との間の通常訴訟で開示の当否を決するというスキームは、実際に行われている審理の程度に比較して無駄ではないか、せめて仮処分を原則化して良いのではないか、本丸である権利侵害の有無は発信者と被害者との間の訴訟において決するのが筋ではないかという思いを強くしたものである。
あわせて、ネットの匿名性の影に隠れて悪いことをする現象は悪徳ネット商法でも見られるので、詐欺取引をネットで行う行為も侵害情報の流通に含めるべきだが、これまた立法課題である。
プロバイダ責任制限法生みの親の一人に脚光があたったことをきっかけに、改めてプロバイダ責任制限法改正課題を思い起こした。
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