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2013/11/28

jugement:子ども取り違え事件で病院に賠償命令

病院で新生児を取り違えたため、裕福な親のもとで学校にいくことが出来なくなったという不利益を受けたとして、取り違えられた人が病院を訴え、その賠償責任が認められたという判決が報じられている。

60年前の新生児取り違え、産院に3800万円賠償命令 (NIKKEI)

判決によると、男性は1953年、東京都墨田区の産院で生まれた。実の弟らが、取り違えられて「兄」として一緒に育てられた人物と容姿や性格が似ていないことを不審に思い、2009年、DNA鑑定で血縁関係がないことを確認。産院の記録から「兄」と同じ日に生まれた男性を捜し出した。今年1月に別の訴訟で、男性と実の両親との親子関係が確定した。

このニュースについて、Facebookで除斥期間はないのかと疑問をあげたところ、法律関係者がコメントを寄せてくれて、時効や除斥期間の問題に加え、損害として大学に進学できなくなったことを評価できるのか、そもそも新生児は出産契約の当事者となりうるのかなど、様々な論点が浮かび上がった。

そこで、同僚の民法学者の以下の書籍をひもといた。

すると、新生児取り違え事件の先例で時効の起算点が問題となったケースは2件あり、そのうち一件は母親の退院時を起算点として時効完成を認めたものだったが、もう一件は今回と良く似ていた。

東京高判平成18年10月12日判時1978号17頁
この事件ではDNA鑑定もされていたが、それ以前の血液型鑑定によって親子関係不存在が判明し、その時を消滅時効の起算点としている。
不法行為ではなく債務不履行構成で、新生児取り違えが判明した時をもって権利行使が可能となった時とし、その時から10年の時効がまだ完成していないというわけである。

債務不履行構成をとるにしても、新生児に債権者としての地位があるかどうかについては、技巧的としながらも、原告が主張する構成を採用した。
それによると、両親が新生児を第三者として締結する第三者のためにする契約が産院との間に成立したというのである。原告となったのは新生児とその育ての両親だが、育ての両親は自らの診療契約に基づく債務不履行責任、新生児だった人は氏名不詳の実の両親により締結された第三者のためにする契約による受益者の地位に基づく債務不履行責任を、それぞれ追及できるとした。

損害については、民訴248条を持ち出すことなく、慰謝料として子につき1000万、両親につき各500万円、合計2000万円の賠償を認めていた。

上記記事の事件でも、この先例は当然参考とされたことであろう。

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