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2013/10/17

nuk:原発ビジネスのリスクが顕在化

海外に原発を売りつけようとするのがアベノミスクの一つの特徴らしいが、そのリスクは十分考えられているのだろうか?

それとも、ひょっとして安全神話を信じているのだろうか?

次のようなニュースがある。

北海道新聞:廃炉、米電力会社が仲裁申し立て 三菱重工に不服

【ロサンゼルス共同】廃炉が決まった米カリフォルニア州のサンオノフレ原発を運営する電力会社サザン・カリフォルニア・エジソンは16日、故障して廃炉の原因となった蒸気発生器を製造した三菱重工業が全損害の賠償責任を認めないことを不服として、国際商業会議所(ICC、パリ)に仲裁を申し立てた。

 エジソンは廃炉により数十億ドル(数千億円)の損害を受けたと主張。リツィンガー社長は「三菱重工に対し、欠陥がある蒸気発生器を納入した責任を認め、全ての損害を回復するよう求める」と訴えた。

 重工側は、契約上の責任の上限は約1億3700万ドルにとどまるとして、全面的に争う構え。

短い記事なので全文引用したが、いくつか解説をしておこう。

まず、上記の仲裁が申し立てられた国際商業会議所は、国際的な仲裁およびADR事業を手がけている。三菱重工が申し立てられたのは仲裁 Arbitrationだが、ADRも注目だ。ちなみに、このサイトではADRの正式名称をAmicable Dispute Resolutionとしていて、中々洒落ている。

このICCの仲裁手続は、1923年から始まったもので、歴史ある国際的紛争解決手続だ。
最近は、年間700件から800件程度の申立てを受け、140カ国前後に関係する2000以上の当事者が関与している。仲裁地も60カ国前後におよび、仲裁人は70カ国以上から選ばれている。そして仲裁判断は年間500件前後にもなっている。

おそらく、三菱重工と上記のエジソンとの契約条項に仲裁付託条項が含まれていたのであろう。

そして原発ビジネスを推進する政府としては、日本の原賠法のような、電力会社以外の責任を認めない法制がない国に対して原発を売り込む際は、この仲裁案件のような巨額な責任追及リスクがあることを十分認識する必要がある。そして通常の産業振興のように貿易保険を設定してその原資に国庫が支出するなんてことをすれば、結局はそのリスクが国民に跳ね返るということも、十分理解しておくべきであろう。

それでも原発ビジネスを進めますか?

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コメント

>貿易保険を設定してその原資に国庫が支出するなんてことをすれば、結局はそのリスクが国民に跳ね返る

海外の企業間紛争における損害賠償が貿易保険の補償対象の範囲にあるんでしょうか?貿易保険って、通常は国家紛争とか自然災害とかで生じた損害とかをカバーするものだと思っていたんですが。

あと、そのリスクを・・・とかいう話だと、貿易黒字にして取り戻せばよいとかいう話になって、逆に原発ビジネス推進・国内原発の推進で貿易黒字化とか言う話になってきません?むしろ、廃炉技術まで獲得して、廃炉技術も輸出とかいう話になりそうなものですが・・・

あと
>海外に原発を売りつけようとするのがアベノミスクの一つの特徴らしい
民主党政権下でも、3.11以降にベトナム、ヨルダン、ロシア、韓国と原子力協定を結んでいますので、これ自体は、印象操作に近いものを感じるんですが。日本の国策として原子力ビジネスを推進することは、民主党政権成立時の二酸化炭素何%OFFだかのときですら堅持された方針ですから、アベノミクスの「特徴」というのはかなり独りよがりな見解だと思いますけど。単なる継続的な政策です。

まあ、現状で反原発を訴えるのは反政府・反自民を訴える必要があるとは思いますが、それでも、こういう評価の端々に印象操作を入れるのは、正直残念です。

投稿: こう | 2013/10/21 01:53

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