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2013/10/06

JR北海道の病巣

JR北海道の数々の問題を取り上げたクローズアップ北海道によれば、概ね以下の様な事情が原因として指摘されていた。

・新車両導入とともに古い車両も継続使用し、25種類ものエンジン型式が使用され、その整備点検が複雑化・困難化している。
・保線の前提である点検が人力に頼っていて時代遅れである。
・点検結果の集約はシステム化されておらず、補修の要否を本社が一元把握する仕組みもない。

・他方、人件費抑制で要員が不足しており、複雑化して負担が重くなっているのに対応できていない。
・とりわけ民営化直後に採用された40代が極端に少なく、多くの50代と20代30代とで世代の断絶があり、コミュニケーションが不十分になっている。
・コミュニケーションだけでなく、ベテランの力が不足している。
・昭和60年代に変更されたレール幅の基準値が、現場に浸透せず、古い基準値でOKと思っている人がたくさんいる。
・4つの組合間でコミュニケーションが不足している。

現象として現れた欠陥は、レール幅の不適正の放置(脱線事故)、エンジン整備の不十分(発煙・発火する機関車)、社員のモラルと士気の低下(覚せい剤中毒までいる)の三点だが、その根っこは結局のところ、資金不足とリストラの失敗ということのようだ。

じゃあどうするということで、大学の先生3人から三様の意見を集めていた。

1案 国からもっとカネを出させる。
2案 赤字ローカル線を切り捨てて経営を効率化する。
3案 赤字ローカル線は道や市町村が引き受けて、本体の経営を効率化する。

1案は、道民としては安易で魅力的だが、実現可能性はない。
3案は、あたかも赤字ローカル線を維持できるようなことを言っているが、ふるさと銀河線はどうなったか、航空路線ではあるがHACの現況などを想起すると、結局は切り捨てることになりそうだ。
しかし、2案は道民として受け入れがたいのではないか。

抜本的な対策は新幹線のこともあるし、空路の問題、高速道の整備の問題など事情が変われば可能性も開けるだろう。
当面は、現状を前提としつつ、必要な整備点検・保線などをきっちり行っていけるシステムを取り入れ、安全かつ高速化のために一つ一つを改善していくことしかないと思う。

最悪なのは、JR西日本のような従業員へプレッシャーをかけて精神論根性論で乗り越えようという方向である。

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