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2013/09/18

visite:欧州人権裁判所(2)

欧州人権裁判所の裁判官は全部で47人おり、5つのセクションに分かれているが、今回の法廷は大法廷で、17人の裁判官と2名の補充裁判官で構成される。→裁判官について

開廷すると当然ながら撮影はメディアだけに許される。傍聴する人々の中には何人もスマホやiPadで写真をとっては職員に注意される人が出ていた。ちなみにスマホやタブレットを使う分には良いらしいので、私もMBAirを取り出したが、パソコンは禁止されているらしい。不合理である。

今回の事件は、ロシアの裁判所で被告人が法廷内の金属製檻の中に入れられて裁判を受けさせられるというのが、人権条約違反に当たるという訴えで、被告人2名が損害賠償を請求していた。

申請人の論拠は、法廷内では金属製檻に被告人を入れておくことに合理的理由がなく、法的根拠もなく、またプライバシー侵害であり、陪審に危険人物であるという印象を与えるるもので無罪推定原則にも反するというものであった。

それに対してロシア政府の反論は、法廷内のセキュリティ確保、保安措置が必要だということ、特に重罪の疑いがかけられている場合の例外措置で、85パーセントの被告人はそうした保安措置を施されていないこと、また申請人は有名人ではなく法廷で金属製檻に入れられてもメディアに報じられたりしないので名誉侵害にもならないこと、裁判長は陪審に被告人が拘束されていることは有罪であることを意味しないと説示していること、などであった。

両者からの弁論が終わると、リュクセンブルクの裁判長が質問を裁判官たちに促し、ただ一人、マルタの裁判官が質問した。

質問をしたところで15分休廷。
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休廷中は、地下一階にあるトイレとコーヒー自販機に100人近い人々が殺到するので、すごくごった返す。

やがて再開した法廷では、再び申請人の側が同じようなことを述べ始めた。欧州人権裁判所の先例や賠償を求める法的根拠など。
対して政府側も、既に述べたことを繰り返して答える。法廷内で保安措置がなかったため事故事件が起こった過去の事例を挙げ、被告人が殴ったり、被告人が怪我をさせられたりしたことから、保安措置が必要だと、法廷内でプラスティックのナイフで自殺を測ったことなどを挙げて必要性を訴えた。

両者の質問への回答というよりは追加の弁論が終わると、裁判長が「以上で閉廷し、判決言渡し期日は後日通知します」と宣言して閉廷した。

外はすっかり良い天気になっていた。裁判所というと嫌われ役で抗議を世に問う標的になるというのは普遍的な出来事だが、欧州人権裁判所や欧州評議会も例外ではない。裁判所に抗議する人がテントを張って粘っていたし、駅には何度か剥がされた跡の上に真新しい抗議ビラが貼り付けてあった。

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