visite:欧州人権裁判所(1)
ストラスブールにはいくつかのEUの機関が集まっているが、その一つに欧州人権裁判所 European Court of Human Right / Cour européen de droit de l'hommeがある。
ストラスブール市内のトラムE線に乗って、市内中心部からは15分くらいであろうか。欧州議会や欧州評議会などが集まる一角にある。駅の名前はそのものずばり「人権 Droit de l'homme」である。
欧州人権裁判所は欧州人権条約により設立されたもので、
大法廷での弁論期日は月に大抵複数回あり、日本の最高裁判所よりもずっと頻度が多い。
その傍聴には、あらかじめ電子フォームにより申し込みが必要である。
申し込みをすると、自動応答メールの他、翌日以降に集合時間と場所を指定した返事が返ってくる。
弁論は一般公開だが、全くの一般傍聴というのはほとんど予定されていないらしく、弁論が開かれる大法廷は多くの傍聴席があるが、そのほとんどが関係者によって埋め尽くされる。そこで私の申し込んだ当日も、席の保障は出来ず、入れなかった場合は別室でビデオにより見るということがあり得るという話であった。
当日朝、8時30分の予定より少し早めに行くと、既に多くの関係者が入り口のセキュリティチェックを通っているところで、私達傍聴者のための案内職員も既に待機していて、名前とIDを確認すると、ホールでしばらく待機させられた。
職員さんは、概ねにこやかで、受付のおじさんも一般訪問者の服につける黄色い丸いシールを指して「C'est médaille d'or」などという。
やがて、一般ビジターを案内する順番が来たのか、私達を入れて4名の黄色シール組が法廷に招き入れられた。
近代的な協会を思わせるような広い空間に、ズラッと裁判官席が山形に並び、手前には申請人と被申請人のそれぞれの机と椅子、その後ろに200人位は入れそうな広い傍聴席が広がる。
私達一般傍聴者は最後列に座らされたが、そのとなりにはインターンシップに来ているという女性が座った。彼女は早稲田大学に一年間留学し、国際関係を学んだということで、大の日本贔屓だという。
やがて、ベルが鳴り、全員起立して裁判官の入廷を見守った。
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