jugement:琴光喜の解雇は正当
野球賭博に参加していた大関琴光喜を日本相撲協会が解雇した件、元琴光喜が解雇無効確認の訴えを提起していたが、この度請求棄却判決が出たようである。
八百長をしたケースとは違うが、野球賭博に関与したのだから、まあ解雇は当然で、ましてや大関ならと、行為と処分の相当性という点では大方の納得が得られそうだ。
しかし、手続的には重大な欠陥がある。
裁判でも訴えていたし、不祥事調査で騒ぎになった時も公然と行われていたことであったが、相撲協会の調査にあたった親方たちは、正直に申告すれば悪いようにしないと言って申告させたのである。にも関わらず、申告内容に基づいて解雇するというのだ。
まさしく騙し打ちの所業だ。
残念ながら琴光喜の年齢は既に37歳で、土俵に復帰する年齢でもない。また第二の人生もそれなりに上手く行っているようではある。解雇無効を認めないことによる打撃はそれほど大きくはないかもしれない。ただし、相撲協会の一員として得られたはずの経済的メリットが失われたことは重大であり、騙し打ちでそのような結果を招いたことは、法的も問題があると言わざるを得ない。
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- arret: 第二次大戦戦没者合祀絶止等請求事件最高裁判決(2025.01.19)
- arret:海外の臓器あっせん業が臓器移植法違反に問われた事例(2025.01.16)
- jugement:ビットトレント利用者の発信者情報開示命令(2025.01.09)
- jugement:留置担当官が被疑者ノートを15分間持ち去った行為の違法性を認めた事例(2025.01.08)
- Arret:共通義務確認訴訟では過失相殺が問題になる事案でも支配性に欠けるものではないとされた事例(2024.03.12)
コメント