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2013/07/21

FRAUDE:訴訟詐欺

振り込め詐欺のネタに訴訟が使われるのは普通で、「訴えられた」という言葉の威圧感を利用する一つの類型だ。

下記のケースはその典型であろうか。
産経:嘘の民事訴訟で、350万円詐欺被害 滋賀

1人暮らしの女性宅に今年6月上旬、「訴訟が起こされる」などと書かれたはがきが届いた。気になった女性が記載された電話番号に連絡したところ、男が「布団を購入した件で、会社から訴訟を起こされている」などと言い、実在しない弁護士事務所を紹介された。

 女性は弁護士を名乗る男に「供託金が必要」などと言われ、今月9日までに計約350万円を指定された銀行口座に振り込んだという。

何の変哲もない振り込め詐欺にも見えるが、荒唐無稽な債務執行所とか警告とかを連発する詐欺とは異なり、結構リアリティに溢れる詐欺芝居だったのかもしれない。

「布団を購入した件」というのが全くのあてずっぽうならともかく、何らかの情報に基づくものであるとすれば、引っかかる可能性はかなりある。
その場合に、例えば代金は完済してあるとか、分割弁済中だということであったとしても、何らかの理由で会社がさらに請求してくることはありうることだ。
その上、「供託金が必要」というのも、産経の記事の「供託金」でなく、「担保」とか「保証金」とかであれば、仮差押えをかけられるから、それを免れるために「担保」が必要だということはありうることである。

つまり、自分が関わった何らかの取引を持ちだされ、その相手が訴訟を起こすから、防御のための金が緊急に必要ということは、現実にも普通に有り得ることなので、79歳の女性のみならず、言葉巧みに演じられれば私でも引っかかる可能性はある。

ただし、弁護士を持ちだした時点で、真偽を確認する手段は与えられている。
日弁連のサイトに行けば、全国の弁護士の氏名が検索で確認できる。→弁護士情報検索
日弁連は、そこに登録しないと弁護士として活動できない強制加入団体なので、この検索に引っかからなければニセ弁護士であり、話自体もニセということが分かる。
仮に実在する弁護士だった場合は、その電話番号等により確認することができる。

もう一つ、裁判所に確認するのが王道だが、上記のようなだましの過程では、あまりはっきりした事件番号を告げたりはしないのではないか? いきなり裁判所の代表電話に電話して、自分の名前を告げて、自分に対して訴えが提起されているかどうか知りたいと聞いても、答えてもらえるものかどうか、甚だ心許ない。
ましてや、どこの裁判所かわからないけど、となればもう確認のしようはない。

もちろんそんな曖昧な話は疑ってかかれと言うのは容易い。しかし、「訴えられた」=「マズい、恥ずかしい、将来が不安」という不安感に軽くパニック状態となっている人には、疑ってかかれという方が無理だ。

そういうわけで、人に知られたくないトラブルを抱えてしまったとしても、弁護士さんの情報は人知れず確認することができるし、法テラスに助けを求めることもできる。ここが防波堤となっていることは、世の中にもっと知られて良い。

ただし、当の弁護士が詐欺に加担するようになってしまえば、その防波堤は穴だらけということになるが、だからこそ弁護士の倫理と自律性は重要で、社会の安心安全の一つの礎でもあるのだ。

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