2013司法試験問題の検討@法セミ8月号
ステマというか露骨な宣伝だが、法学セミナー2013年8月号に「司法試験問題の検討2013」が掲載された。
その座談会方式の検討の中に民事訴訟法の部分を私が担当している。ということで、例年このブログで問題にコメントをつけたりしていたのを遠慮していた。
北大の同僚ではほかに緑大輔先生が刑事訴訟法を担当されていた。
さて、その問題の中身についてのコメントだが、判例を元に応用力を試す良問だが、短い時間の中に多くを詰め込んだ結果、判決文を示してその場で考えさせるというのが出題意図だとすると、それは時間的制約で無理難題に終わっているというのが率直なところだ。
民事訴訟法では設問1も設問2も基本となる判例を提示して、それとは異なる立論をせよというものだった。ただし設問2は実は判決の結論も同じ方向であったのだが、一般論として述べているところとは異なる立論をせよという点で共通している。
要件を整理させる設問3を前提に、設問4も判例を基本として応用せよというものだったが、こちらは趣が異なり、一部請求後の残部請求が信義則違反となるとする判例を提示し、それを所有権確認で敗訴した後に共有持分権を主張することが可能だという立論に結び付けろというものだ。
結構な難問だと思う。
これを最後に出題するのは時間もなくなるし酷だと思ったのだが、座談会の他の先生達は、むしろ親切で、最初にこれが出てくれば、こればかりに時間がかかって他に答えられなくなるとおっしゃる。なるほどというところである。
ともあれ、判例の結論部分だけを丸暗記するのではダメで、その論理を理解した上で、別の事例に応用する力が試されているということははっきりしている。
なお、同じ号に乗っている清水勉先生の「個人番号制が成立」という記事は、基本的に日弁連の立場にたっているとはいえ、問題の所在がよく分かるものであった。
第三者機関の充実発展が不可欠だという点では、マイナンバー法推進の諸先生の立場と完全に一致を見ている。
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