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2013/06/21

Googleサジェストが名誉毀損になるかen France

Twitterで京大の曽我部先生が紹介していたネット情報記事によれば、フランスの最高裁にあたる破毀院がGoogleのサジェスト機能で名誉を毀損されたという訴えについて、名誉毀損にならないとする判決を下したとのことである。

→記事:Sur Google, suggérer n'est pas injurier

この記事に引用されている破毀院判決は下記の通り。
破毀院2013年6月19日判決(625号)

事案は、リヨンの住宅保険会社 Lyonnaise de garantieが、Googleの検索サイト(.frや.beなど。.jpでは出てこない。)で「Lyonnaise de g」と入力すると、検索候補の三番目に「lyonnaise de garantie escroc」というのが出てくるが、これは名誉毀損だから削除と損害賠償を求めるという訴えをGoogleの本社、フランス法人、それにディレクターに対して提起したというものだ。
escroc というのは、詐欺師とかペテン師とかを意味する。

これに対してパリ控訴院(高裁)は、この表現が表示されるのはGoogleの採用するアルゴリズム等の結果であってGoogleの意思によるものだとし、検索候補として上記文言の表示を可能な限り削除するようアストラント(間接強制)付きで命じ、損害賠償を認めた。

しかし、破毀院によれば、問題の関連付けを行う機能が純粋に自動的で結果が偶然に左右される手順の成果であること、その結果表示されるキーワードが、単なる羅列であり、検索を助ける機能以上のものではなく、その内容を表明したり、独自の意味を与えたりしようという検索エンジン開発者の意図には全く関係ない。かくして責任を認めた控訴院の判断は違法で、ベルサイユ控訴院へ破毀差戻しとなった。

日本でも、検索エンジンのサジェスト機能により犯罪行為と結び付けられ、名誉を侵害されたとする訴えが、仮処分でも本訴でも提起それていることは記憶に新しい。
てっきりこのブログで紹介していたと思い込んでいたが、かすった話題「前科が残って消えないのはnetだけ?」しか取り上げていなかった。

新聞で報じられたものだが、差止仮処分が認められた事例がある。

東京地決平成24年3月19日新聞
 グーグルの予測検索機能で自らの氏名に犯罪を連想される単語が表示されるのは名誉毀損に当たるとして、差止めの仮処分が認められた事例。検索のサジェスト機能の権利侵害性が認められた点が興味深い。なお、同年6月15日の報道によれば、グーグル本社を被告とする本案訴訟が提起されている。

この本訴の帰趨も、その後はあまり報じられていないのでよく分からないが、日本でも注目の問題というわけである。
(追記)
 FBで壇先生がすかさず紹介してくれたが、既にこの種の事件の本訴判決が2件、4月と5月に下され、しかも判断が分かれていた

インターネット検索大手グーグルの「サジェスト機能」で犯罪行為への関与を連想させる単語が表示され名誉を傷付けられたとして、東京都内の男性が米国のグーグル本社などに表示差し止めを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。本多知成裁判長は男性側の請求を棄却した。

 検索用の枠に単語を入力すると関連性の高い別の単語が予測表示される同機能をめぐっては、東京地裁の別の担当部が4月、同様のケースで名誉毀損(きそん)を認定。グーグルに賠償を命じる判決を言い渡しており、判断が分かれた。


あまり良く考えていないが、不都合な検索サジェストの結果を削除しろと言われれば、削除しても良いように思うのだが。削除手数料を有料にすればコストも転嫁できるし、そもそも検索できないようにするという話ではないので、例えば「中国 天安門事件」というキーワードで検索したい人はすればよく、わざわざそのような候補をグーグル側から提供しなくても問題はあるまいと思う。

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