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2013/05/04

police:ストーカー対策に警告よりも治療

読売online:ストーカー、警告でなく治療で予防へ…方針転換


 ストーカー規制法に基づいて警告などを与えても嫌がらせが止まらず、殺人にまでエスカレートしたケースもあることから、警告や摘発で被害防止を図る従来の方針を転換する必要があると判断した。今夏にも一部の警察本部で試行したい考えで、効果を検証したうえで全国的に実施する。

 同庁によると、一部の警察本部に試行を依頼し、警告を受けてもなおストーカー行為を繰り返す者らを中心に、治療実績がある専門機関を紹介し、カウンセリングなどを通じて考え方や行動の修正を図る。

ストーカーやDVなどの加害者のうち、ある種の者は更生プログラムや治療により、矯正する可能性があると考えられる。
この種の取り組みでまず思い浮かべるのは、イングランドのThe National Stalking Clinicであろう。
ここは、イングランドのNHS(National Health Service)の傘下であり、特殊な精神衛生サービスとして法的問題も各種扱っている。その一つが全国ストーキングクリニックで、ストーカーとその被害者の精神分析および治療を行なっている。

ストーカーケースでは、ロンドン周辺のマジストレイト・ジャッジが保釈または親権監護権の決定事件において、このセンターにアセスメントを求めることができ、保護観察の過程でもアセスメントレポートを求めることができる。
加えて、裁判所の処分としての治療も行う。

このセンターの設立を伝えるBBCニュースStalker treatment centre launchedでは、この種のものとしては世界で初めての機関だといい、被害者のためのケアも組み込まれているところが注目されている。

こういう先例を横に見て、日本の上記の方針を読むと、期待と不安がないまぜとなる。

イギリスの機関の場合、司法手続をなくしてしまうのではなく、司法手続としての保釈や保護観察に必要な心理学的および精神医学的なアセスメントを行い、かつ裁判所命令での治療処分を実行する専門機関が国に設けられている。
これに対して「警告ではなく治療」という記事のトーンからすると、司法手続を止めてしまって治療に回ってもらうというニュアンスが感じられるが、それでは上手くいかないであろう。治療を成功させるには、加害者の積極的な参加意思も必要であるが、それは治療の成功のための要因であり、治療を受けさせる過程では刑事的な手続による強制が必要である。
加えて、専門機関の存在を抜きにしては、治療が成功するかどうか、疑問がある。必ずしもそれ専用の機関が国に設けられている必要はないと思うが、一般の病院にしてもストーカー等に専門的な評価・治療能力を持つ部門がなければならない。今回の警察庁の方針転換は、そうした専門機関を予定しているのであろうか?
さらに、加害者のためのプログラムだけでなく、被害者のためのケアも重要課題であるのだが、その点が置き去りにされている感じがある。

短い記事で取り上げられていないだけで、上記の諸点もきちんと手当された上での話であれば良いのだが。

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