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2013/05/03

news:裁判員となってストレス障害、国賠請求は?

裁判員となって死刑判決言渡しに関与した女性が、審理中に見せられた遺体のカラー写真などでストレス障害と診断され、療養を余儀なくされたとして、国家賠償を求めるというニュースが報じられている。

裁判員:ストレス障害の女性、週明けにも国賠提訴 


 女性側によると、女性は3月1日に福島地裁郡山支部に呼び出され、裁判員に選任された。3日後の初公判で遺体のカラー写真約25枚のスライドなどを見せられ、何度も吐き気を覚えたが、「退室しては迷惑がかかる」と我慢した。その結果、食欲の減退や、写真がフラッシュバックするなどの症状に悩まされるようになり、3月22日に総合病院でASDと診断された。現在も薬物治療を受けながら自宅で療養中という。

 訴訟で女性側は、「裁判員は憲法18条で禁じる苦役に当たる」と指摘し、「個人の尊重」「職業選択の自由」を保障する同13、22条にも違反すると主張する方針。

ということなのだが、裁判員制度は憲法に反しないという最高裁判決もある。
上記の経過で女性が受けた被害を、国家に補填請求する場合に使えそうな条文として思いつくのは、憲法29条であろう。

第29条  財産権は、これを侵してはならない。 2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

この3項の正当な補償が請求できるかどうかが問題となった事例として、予防接種による副作用の損害を国に求めたケースがある。

下級審レベルでは判断がわかれていて、最高裁の判断はまだ示されていないと記憶しているが、記憶違いがあったらご指摘頂きたい。
これを認めたのは、予防接種を強制していたことを前提として、その社会的な疾病予防のために不可避的に生じる副作用被害については、憲法29条3項に基づいて直接、損失補償請求権が被害者に生じるという論理である。

裁判員裁判が公共のために正当性を有するという前提にたつと、おそらく憲法違反を主張する方々はそうは言わないだろうが、私有財産の制限に対する正当な補償として、ストレス障害などの被害については損失補償請求権が発生するという論理が立ちそうである。

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コメント

このケースの場合、憲法29条3項を持ち出さなくとも、国家公務員災害補償法にいう公務上の災害にあたるので一応の補償はされることになっています。
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c7_11.html を参照のこと。
補償を超える賠償を請求する場合は、国家賠償法1条によることになるでしょうね。

投稿: 通りすがり | 2013/05/05 23:40

ご教示、ありがとうございます。

投稿: 町村 | 2013/05/06 20:55

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