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2013/05/16

lawyer: 行政書士と弁護士

昨日辺りから、東京都行政書士会中野支部というところのホームページの記載をめくり、ツイッターやフェイスブックで議論となっている。
議論というか、私の見る中では弁護士さんが「これはひどい」というツイート等を書き、それを弁護士会や行政書士会にぶつけるらしく、上記ページの内容が次々変わっていくという面白い展開になっている。

「論点(笑)」は色々あるのだが、特に弁護士さんたちの琴線に触れたのは「行政書士は告訴状の作成を通じて被害者の味方をします。弁護士は、加害者すなわち被告人の弁護、味方をします。」という部分だ。

行政書士が告訴状を作成する仕事をどれくらい請け負っているのかはよく知らないが、弁護士が被疑者・被告人の弁護をするだけということはもちろんないし、そちらが中心的業務だという位置づけすらも適切ではない。
確かに、被告人の利益を最大限守るという仕事を弁護士という法律専門職が担うことで、刑事裁判のバランスがとれ、可能性ある人権侵害や冤罪のおそれを一定程度防止することができる。このことが弁護士の中心的業務の一つには違いない。

しかし、被害者の法的利益を守るのもまた弁護士という法律専門職の重要な役割であり、その働きは民事関係のみならず刑事関係においても発揮される。被害者が加害者に対して損害賠償を請求する民事事件の代理人となるだけでなく、刑事訴訟上の告訴等を行うことも予定されている。被害を受けたときにまず頼るべきは弁護士であることは疑いを入れない。
最近では被害者参加や損害賠償命令などの場面でも弁護士の役割が重要となってきている。

弁護士さん達の反論・批判に答えてか、桶川事件を引き合いに出しているのだが、あのようなストーカー事件に関して被害者がもっと弁護士を頼れる環境であったら、不幸な事態は少なくなるだろうと思われる。警察に直接言っても頼りにならないときは、弁護士を通じて警察に対する働きかけをしてもらうのがよい。もちろん警察の代わりに守ってくれるというのではない。

ただし、このように弁護士の役割を強調すればするほど、弁護士が身近な存在とはいえないこと、特に地方にはあまりいないこと、そして、いても弁護士費用は一般人にとって極めて高額であり、そうそう気軽に守ってねとはいえない存在であることを指摘せざるを得ない。
もちろん経済的に割に合わない仕事でも熱心に取り組む弁護士さんはたくさんいたし、プロボノの裾野は広かった。刑事弁護もそうしたプロボノ精神に支えられていたわけだし、被害者のための弁護活動も、あるいは立場の弱い人達のための弁護活動も、経済的には引き合わないながらも献身的に関わってくれる弁護士さんたちによって支えられてきた。
その弁護士の仕事の崇高な部分を無視することはできないが、しかし弁護士の数が少なければ、助けを求めている人が適切な弁護士に出会える確率は小さい。特に司法過疎と呼ばれる地方では、なおのことである。
そして、この構造を変えようとしても、すなわち弁護士がいつでもどこでも存在していて、一般人が気軽に払える程度の価格で仕事をしてくれるようになったらいいと思っても、単に弁護士の新規参入を増やしただけでは、決してならないようだ。かえってプロボノを行う経済的基盤も弱くしてしまって、弁護士法1条の目的をかえって阻害することにもなるといわれている。

もう昨今では、当の弁護士さんの中から、そんな弁護士がたくさん身近にいて仕事を頼むような社会自体が良い社会ではないと言う人がいる。

かくして、この議論を進めていくと、昨今の司法制度改革の(ほぼ)失敗の話と、「んじゃどうすりゃいいんだ」という話に行き着かざるを得ない。

当面、刑事弁護や被害者弁護の状況改善には国選報酬などの飛躍的増大によって対処するしかないし、地方の司法過疎にも今行われている公設事務所のさらなる拡充(のための予算措置)に加えて通信技術を駆使した法律相談・法的支援へのアクセス強化を地道にやっていくしかないし、要するにもっと予算をつぎ込むところがたくさんあるという話だ。

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コメント

教授、なんちゅうあほな。
LS莫大なカネ入れ込んで、質の向上、量的パフォーマンス向上つながりましたか。
だからわし、実務家勧奨してるのに、わかってない。
論点失当どころか、論調失当。

投稿: ばんぶう | 2013/05/16 18:20

「行政書士と弁護士」の一文からリンクをたどり、くだんの書士会のページを探しましたが、それらしい記事が見当たりません。
もしかして、後難をおそれて丸ごと削除してしまったのでしょうか。
私が探し切れていないのかも知れませんが。。。

ところで、第二段落の「特に弁護士さんたちの琴線に触れたのは・・・」は、おそらく、悪い方の意味で使われているのでしょうが、「琴線に触れる」は、通常は良いもの、素晴らしいものに感銘を受けるという意味に用いられるようです。一応ご参考までに。

投稿: ohgachan | 2013/05/16 21:57

まったく、いい迷惑です。。。
削除したみたいですが…。。。

行政書士は、代書屋としていればいいんです。
ミニ弁護士になる必要はありません。

中野支部は選挙の結果、僅差で現体制になって、
いきなりこうなったらしいです、はい。

投稿: さわちゅう | 2013/05/17 02:35

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