France憲法院が欧州司法裁判所に判断付託
フランス憲法院が、自らが破毀院から負担された憲法判断に関して、さらに欧州司法裁判所へ判断を付託する決定を下した。
事案は、イギリスの先生が未成年の生徒を連れて国外に出たとして、いわゆるヨーロッパ逮捕状によりフランスで逮捕されたというもので、そのフランス憲法における合憲性が争われたというものである。
ヨーロッパ逮捕状に関しては、これを創設したヨーロッパ評議会2002年6月13日枠組み決定を参照。未成年者誘拐に関するEU各国の刑事手続の調整と相互承認執行の具体化の一つとして、制定されたものである。
これを受けて、フランス刑訴法典695−11条から695−51条まで、ヨーロッパ逮捕状に関する規定が設けられた。そのうち同法典695−46条4項が、不服申立ての余地なく引渡について判断するものと規定している点が、法の下の平等と裁判を受ける権利の侵害に当たるとして争われた。(簡略化しているので、語弊があるかもしれない。正確なところは上記原文を参照されたい。)これは憲法解釈なので、破毀院からフランス憲法院に先決憲法問題(QPC)として付託された。
そしてこの点は、上記の枠組み決定が定めている構成国司法当局の義務に必然的に伴うものなのかどうか、それによってフランス憲法上に設けられたヨーロッパ逮捕状に関する立法の規定(フランス憲法典88−2条)によって許容されるのかどうかが決まる。
従って、フランス憲法院が憲法適合性を解釈する前提として、上記枠組み決定の解釈が必要となり、それには専ら欧州司法裁判所の判断が必要になるというわけである。
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