France法:保証人保護のための方式要件違反は相対無効
フランス消費法典は、保証人の保護のためにいくつかの条文を置いているが、その中には、金融機関が自然人と保証契約を結ぶ場合に、その自然人の資力に照らして過大な責任を負わせるものではないことを要求し(L341-4条)、また保証契約書には手書きで、保証の内容、連帯の有無などを書かなければならず、これらに反する契約は無効としている(L341-2条およびL341-3条)。
特に、この手書き文言の要件について、これを欠いた保証契約を結んだ自然人が、にも関わらず任意に保証債務を履行した場合に、あれは無効だったと言って、その払った金銭の返済を求めることはできるだろうか?
この問題に破毀院はノーと答えを出した。
Com., 5 févr. 2013, Bull.civ 予定
消費法典の方式主義は保証人の利益を保護することにあり、その無効は相対的である。瑕疵を知りながら任意に履行すれば瑕疵は治癒される。その上、本件では無効の可能性を弁護士および会計士から助言されていたにも関わらず弁済した。このことは民法1338条の意味での追認に当たり、無効主張を妨げるものである。(町村仮訳)
日本の保証契約についても、書面によることを要求する条文があるので、その解釈論に参考となりうる事例である。
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