Ballet:ニジンスキー
サンフランシスコのオペラハウスで、ハンブルグバレー団による「ニジンスキー」がかかっていたので、身に行ってきた。
直前に切符が買えたにもかかわらず、場内は空席がほとんど見当たらない賑わいだった。
バレーは、いくつか見たことがあるという程度なので、新鮮な感動をいつも味わうことができる。
今回もそうで、ポスターを見た時はニジンスキーの作品かと勘違いし、切符を買ってからニジンスキーの生涯をモチーフにした作品であることが分かった。
舞台は、総じて美しいものだった。
始まりがユニークで、場内の明かりが全く暗くならず、観客がてんでにおしゃべりして騒然たる中を、オーケストラが音合せをしている。指揮者が登壇する拍手もなく、そのまま明るいままで舞台上のピアニストがビアノを弾き出した。
「あれ、音合せも済んだのに、まだ練習してるなんてアリか?」
ピアノは、ちゃんとした曲を弾いている風でもなく、開演前に練習している感じだ。
「もう舞台が始まってるんだったりして。」「まさかぁ」
依然として場内の照明は明るいままで、観客は騒然とおしゃべりが続き、席に案内されている客もいる。
その中で、舞台上にカップルが現れ、ピアニストに何事か話しかけた。
流石に、場内は静まり返るが、照明は依然明るいまま。
そんな感じで、徐々に登場人物が入ってきて、壇上でおしゃべりを始め、壇上の席順で揉めたりしている中を、ダンサー登場、一挙に場の雰囲気が変わった。この段階でようやく照明も落ちた。
舞台はサンモリッツのホテルでニジンスキーが最後に人前で踊ったところから始まるのだった。
プロットは、前半がニジンスキーの上映作と彼の私生活との絡みで、パレーの好きな人達はここがいいのだろう。著名作品のコラージュでもある。
後半は、ニジンスキーの病気、いまでいう統合失調症の内面世界を表したもので、それに戦争と、妻の不貞などが絡みあう。
その妻が最後まで夫に寄り添うところは、妻がニジンスキーをそりに乗せて壇上を引っ張るという姿で表しているのだろう。
さて、サンフランシスコのオペラハウスは、クラシックな造りで、二階にはレストランとバーがあり、一階のエントランスも花をモチーフにした装飾にシャンデリアで独特な明るい壮麗さを醸し出している。客席も、アメリカ人の体型に合わせた幅広な感じで、狭いながらも落ちつける座席だった。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- Cinema:ボブ・マーリー One Love(2025.04.09)
- 国立西洋美術館-内藤コレクションで教会法大全の写本を見る(2024.08.05)
- The Welkin(2022.07.08)
- 最近買った本:江戸時代の罪と罰(2021.11.15)
- 最近買った本:スポーツと法(2021.10.12)
コメント