BOOK:野球の神様が教えてくれたこと
桑田真澄の「野球の神様がくれたもの」は大リーグ挑戦と、その後に早稲田大学院で書いた論文が収められている。
その中には精神主義や根性論に陥り、科学的トレーニングを軽んじる傾向の野球界に対する批判的検討と、そのルーツは戦前に早稲田大学野球部の監督から野球評論家になった飛田穂洲の、特に時局に迎合した言動が一人歩きしたこと、戦後の野球指導者が復員軍人中心で、悪しき精神主義を持ち込んだことにあると分析している。
そして体罰批判にも読ませるものがあるが、特に印象に残ったのは、コーチに向けて書かれたコーチの役割論だ。
1 選手を育成するための環境を整える
2 スポーツマンシップの手本を示す
3 スポーツを楽しむ雰囲気を作り出す
この三点は、法学教師にも当てはまる役割だと思うのだ。
1 学生を育成するための環境を整える
学校としての設備整備ということになるが、特に教師としても図書館の蔵書を整え、データベースによる資料アクセス環境を整え、学習支援システムの導入と活用を図るという役割がある。
2 リーガルマインドの手本を示す
学校の種類によって違うが、ロースクールなら実務家としての手本となるし、研究大学院ならもちろん研究者としての手本となる。育成目標が幅広い学部教育については、どのような手本を示したらよいのかという点もまた幅広い。
3 スポーツを楽しむ雰囲気を作り出す
特に研究大学院の場合は、学問の楽しさを伝えるということになろう。この学問の楽しさは、学部教育においてもある程度は共通して伝えたい内容だ。ただし、民事訴訟法学の楽しさを学生に伝えるのは、なかなか困難ではある。
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