jugement:親族相盗免除の具体例
選挙のせいで、裁判報道は埋もれがちだが、下記のような判決が出されていた。
実母から額面4000万円の小切手や現金を奪ったなどとして、強盗致傷、強盗罪に問われた横浜市戸塚区の中古車販売業の男性(51)の裁判員裁判で、横浜地裁(毛利晴光裁判長)は30日、恐喝罪を適用して刑を免除する判決を言い渡した。刑法の規定で、親子や夫婦、同居親族間で起きた恐喝、窃盗、詐欺で罪に問われた者は刑が免除される。実際に判決で言い渡されるのは極めて異例という。男性は昨年9月、母親に「頭かち割ってやる」と言って包丁を示し、首をつかんで「農協に電話しろ。金用意してもらえ」と脅すなどして現金約70万円を奪って軽傷を負わせ、同10月には「金は用意できたのか」と怒鳴り、同席した弟にオイルのようなものをかけて脅し、母親から額面4000万円の小切手1枚を奪ったとして起訴された。
参照条文
刑法244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
この235条は窃盗、235条の2は不動産侵奪だが、251条で詐欺恐喝にも準用されている。
しかし、強盗まがいの恐喝で刑の免除が認められるというのは、市民感情として納得いかないという感じがする。もちろんこの事件の内容を詳しく見たわけではないので、この判決自体に対する評価はできないが。
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- arret:オノアクト贈収賄事件に高裁も有罪判決(2023.10.24)
- arret: 婚姻費用分担請求に関する最高裁の判断例(2023.08.08)
- arret:孤立出産した外国人技能実習生の死体遺棄を無罪とした最高裁判決(2023.03.24)
- jugement:コンサート出入り禁止措置の無効確認訴訟(2022.10.28)
- jugement:不同意性交によるPTSD被害について国賠が認められた事例(2022.07.23)
コメント