consumer:国センの運命がまた揺れ始めた
独立行政法人国民生活センターの運命は、当初、事業仕分けに引っかかって廃止ないし縮小の方向だったが、その後、その重要性が再認識され、消費者庁の中でその機能を維持することになっていた。
ところが・・・。
森雅子・消費者問題担当大臣は「(来年度は)移行しないよう指示した」と述べ、移行を先送りする考えを明らかにしたという。
これだけ見ると、政権交代後のちゃぶ台返しの一つではないか、民衆党政権のやることはすべて悪か、という感じもするが、この点に関しては評価は逆であろう。
独立行政法人の整理統合という方向は無駄排除のために望ましいが、社会的に有用な組織かどうかという視点なしに、役所が容認するかどうかという基準でスケープゴートに挙げられたのが国民生活センターであった。
「国民の生活が第一」という標語を掲げていた民主党が、「国民生活センターの廃止が第一(ていうより唯一)」になってしまった辺りに、民主党政権のダメダメさが象徴的に現れている。
それでも国センの重要な機能を維持することが重要だという国セン側からの巻き返しで、消費者庁への統合はするが、機能としては一体性を保ったまま維持しよう、むしろ充実強化しようということになった。
→「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」報告書(PDF)特に17頁以降参照
独法整理統合という名を与えつつ、国センの強化充実という実をとった絶妙な解決という評価もできよう。
森雅子大臣の今回の方針転換は、これをひっくり返してしまうのだが、国センは国センでその機能を維持し、これとは別に消費者庁も、また消費者委員会も、機能強化が図られれば結構なことである。その方向で、上記検討会報告書の内容が生かされれば、国センを移行するかどうかは小さなことである。
結局、虚しい堂々巡りをしているようにも思えるが、それは民主党政権の消費者行政迷走に原因があるというべきだ。
なお、民主党政権もダメダメなことばかりだったわけではない。新しい公共という名のもので、公益性の高いNPOへの寄付を税制面で促進した改正特定非営利活動促進法(平成23年法律70号)、消費者市民社会の実現に向けた消費者教育推進法、それに消費者安全法の強化と消費者安全調査委員会創設など、特筆すべき成果を着々と重ねてきたともいえる。率直に言って民主党政権が、というのではなく消費者庁・消費者委員会の皆さんが、というべきではあるが。
新政権は、この積極的な消費者行政を是非、さらに推進してもらいたい。
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コメント
こんにちは!
お世話になります。竹の助と申します。
政権が変わるごとに色々なことが一からに
なってしましますね。
これからまた政治がごたごたしてきそうですね
投稿: 副業アフィリエエイトの竹の助 | 2012/12/31 19:02