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2012/11/02

UNIV:田中真紀子文科相が大学設置認可答申を覆す

日経:3大学開設を認めず 文科相「認可のあり方に問題」

2013年度に向けて大学設置・学校法人審議会が開設可とする答申を出した3大学について、田中真紀子大臣が不認可の決定を下した。

不認可決定を下されたのは秋田公立美術大(秋田市)、札幌保健医療大(札幌市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)である。
晴天の霹靂と言おうか、寝耳に水と言おうか、関係者にとっては驚天動地で大混乱となっていることが予想される。

しかも、この記事によれば、「個々の大学の新設計画について不備を指摘したわけではなく、審査のあり方自体に問題があると判断した」というのである。

田中大臣が大学設置のあり方について問題意識を持っていることは評価されてもよい。
基本的に少子化の時代に、大学を新増設することへの疑問はあって当然だ。また作ってしまった大学が経営難になれば、そのしわ寄せは学生にくるのだから、作りたいだけ作って自然淘汰に任せるという発想も間違いだという意見にも一理がある。
しかし他方で、需要の増加が見込めないのだから新規参入は制限しますというのでは、既存の大学は既得権益化し、はなはだ不健康な村社会的風土が醸成されるかもしれない。

また、現在の審査体制について、「現在の審議会委員は29人のうち22人が大学学長や理事長ら大学関係者が占めており、田中文科相は「大学同士でお互いに検討している」と批判した」と伝えられている。なるほどそのようにも見えるかもしれないが、では大学関係者を除いた委員構成の審議会で、何を審議するのだろうか?
 大学設置のあり方や、新増設をどのくらい認めるべきなのかとか、大きな制度の議論をするのであれば、なるほど大学関係者というまな板の鯉が審議の中心になるのはおかしいかもしれない。しかし、大学設置審の審議内容は、申請された大学候補が設置基準を満たしているかどうかなのである。基準を満たしているかどうかという判断のかなりの部分は財務、設備、人員などの事実関係を確認する作業であり、教育体制や教育内容についても極めて専門性と技術性の高い内容だ。
これを誰が審査するのが適任か? 政治家? 一般市民? 文化人? タレント?
こうした作業は実質的には官僚による事務方が周到に準備をし、責任を委ねられた専門家がこれをチェックするというのが適任であろう。

 田中大臣がやりたいことは、大学設置審議のあり方や全体の大きな方向性を再検討したいということであって、個別の大学設置申請の審議のあり方を見直したいという事ではないはずだ。

 それなのに、特に現在の設置基準に照らして不備の指摘もされていない申請が、不認可となるのはいかにも不当であろう。とんだとばっちりといってもよい。

 これは、大臣の恣意的な公権力の行使と評価すべきであり、行政訴訟に訴えてでも是正させるべきではないか? 時期的に来年の学生募集に間に合うように、義務付け訴訟も可能であろうか?
 仮に一年遅れるとすれば、その間の損害については国家賠償の対象ともなりそうである。
 ちなみに、来年4月からの開学を前提に、設置認可を求める条件としても、4月からの学生の受け入れに必要な教職員、建物、カリキュラムやシラバスなどはすべて整っているはずであり、これを財源的に支えるはずだった学納金に相当する金銭はすべて損害として、賠償の対象となる。
 のみならず、教員予定者は、従前の職を辞して赴任する予定を立てるわけで、4月から赴任となれば大部分は勤務先にやめると伝えているであろう。仮に金銭的には賠償されるとしても、仕事を辞めることの損失はそれだけではあるまい。

 田中大臣が大学設置のあり方を大きく変えたいという意欲を持っている事自体は評価に値するかもしれない。が、それなら例えば来年度からの審査体制をどのように変えるかの検討を行い、来年度以降に申請された分から適用するのが筋だ。既に現行基準のもとで申請され審査も済んでいる大学候補に不認可を突きつける理由は全くないのである。

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学問・資格」カテゴリの記事

コメント

就任時期からして
審議会と十分に意見交換し考慮したとは思えません。
「学校側に不備無いにもかかわらず」
それ以前の問題ような印象を受けます。
大臣の不当な行為として追及されて、
明らかになることを望みます。

投稿: うっち | 2012/11/03 09:55

認可がおりてもないのに準備を進めておいて結果が不認可という事で損害賠償起こせるんですか。 いいですね。 私たち一般人は例えば総領事館にビザの申請を全部の決められた書類を提出しても総領事の判断で不許可となる事はあります。その際、飛行機のチケットも買ったのに、海外で住む家も買ったのに。 とその賠償を求めてどうなるかはおわかりですよね。 認可が下りる前から学校側と審議会の甘い関係がこういう状況を作ったのでしょう。基準をクリアしているから当然認可であり判断の出る前から分かって準備しているのはどうでしょうかね。 それなら、文部科学省は必要ないんじゃないですか。 秋田の田舎に四年制の美大を公金つぎ込んで建てるアイデア意外に他に税金の使い道はなかったのでしょうか? 小中学校の建物耐震化、給食問題、母子家庭への援助など他にも最優先な事項はあったと思います。 都市部でも芸術系大学の生き残りは相当大変です。 大学側で認可も出てない時点から学生を呼び込んだり改築したり、自業自得ではありませんか。 

投稿: うっちん | 2012/11/03 20:56

認可と許可は根本的に違います。

認可(にんか)の場合は法律で要求されている条件(書類の準備等)が整っていれば100%認可しなければいけません。大臣に裁量の余地はありません。ゼロです。

認可は原則自由に行っていいことを、一定の目的のもとに制限しているからです。

本来、学校は自由に設立していいものですが、内容の伴っていない学校を認めると生徒側に不利益があるので、一定の条件を付けているのです。

なので、不認可とするには合理的根拠がなければいけませんが、「大学のかずが増えすぎた」というのは現在の社会情勢に対する一般論であり、今回申請した大学の申請内容の不備とは関係ありません。

なので、合理的根拠があるとは言えないと思います。

一方、許可(きょか)は原則禁止されていることについて特別に許すものですから、書類が整っていても国側で自由に判断して不許可にすることは可能です。

入国拒否なんかがその例ですね。自国の治安を守る義務があるので、犯罪者などを入国させないのは国の国民に対する責務ですから。

今回は、申請側の不備がないのにもかかわらず不認可にしており、この処分は違法・違憲の可能性があります。もし、裁判所が違法・違憲と認定すれば、国家賠償法に基づいて賠償請求できると思いますよ。

投稿: drink | 2012/11/04 12:29

ということは、今後大学新設を不認可にすることは現実的に不可能となるわけですね!?審議会が過去に不認可にした事例がないようですし、誰が大学数の現状維持又は削減について検討するのでしょう?文科省でしょうか?審議会でしょうか?それこそ大学という、自分たちの既得権益を削るような指針や結論を出すとは到底思えませんが。

投稿: 寅 | 2012/11/04 16:57

日本の大学の大半がクズ。学生ばかりじゃない、教員・研究者も。分数のできない経済学部生なんて揶揄されたが、捏造・盗用だけでなく論文の基本的な書き方すら知らない研究者もたくさんいる。
大体、文系の大学教員で博士号持ってる奴、少なすぎる。企業や役所など実社会ての経験者ならまだしも、大学村でしか生きてこなかった連中が、博士論文の提出・合格すらせず、「博士課程単位取得退学」とかいう造語でPhDホルダー面する国なんて、欧米ではない。単なるドロップアウトに過ぎない。
くだらん小学生向けみたいな本を出す輩を先生扱いし、世界で学術論文と認められうる著作の1本もない学部や教職員に税金を注ぎ込むなんて、ドブに金を捨てるようなこと。国文学ならまだしも社会科学系の専門家なら、英語で論文発表しろよな。学外審査や大学評価機構を機能させるべき。

投稿: MSc | 2012/11/05 10:33

秋田に美大作ったらいかんのか?知らないと思いますが、秋田には国際教養大のように成功している大学もありますがね。ちなみにこの国際教養大、美大の場所よりかなり田舎にあり、回りにあるのはだだっ広い公園と空港くらいで、勉強に最適な場所ですよ(笑)
話はそれましたが、大学の質は数ではなく、その大学の講義内容だったり、教員と学生達によるものなのでは?
なので、大学の多さが質の低下を招いているというのは、原因の一つとは思いますが、それは一面的な捉え方でしかないと思います。大学の数が少なくても、講義内容、教員、学生の質が劣っている大学があればどうでしょう?

今回の田中大臣の対応は、問題提起をして政治主導をアピールしたまではよかったが、3校の不認可の決定を一般論を使って論じており、大学設置基準に照らしどこが不足で不認可なのか具体的根拠を上げて説明しておらず、説明不足だと思います。このことが、いきあたりばったりの決断をしていることを印象づけ、かえって自分の政治家としての稚拙さ、大臣としての適応能力の無さを浮き彫りにしてるのでは?と思います。
大臣になったことをいいことに、選挙前のマスコミを使った国民へのアピールだったのではないでしょうか?暴走老婆のように映りましたが(笑)

投稿: 秋田市民 | 2012/11/06 01:32

一般的議論と個別の問題を混同していると思います。大学の在り方や設置基準の問題は改善して行くべきでしょう。しかし今回の問題は文部大臣が認めた審議会で認可された決定を文部大臣がひっくり返したのですから呆れてしまいます。「秋田の田舎」と言う人は上から目線で何様のつもりでしょうか?    この問題は頭のおかしい暴走大臣の不始末として結末を迎えるでしょう。決定を変えるか田中大臣を更迭するか。どちらにしろこれで民主党は完全にジ・エンドです。任命した野田首相が一番悪いのだから自業自得ですね。

投稿: プロメテウス | 2012/11/06 11:27

田中大臣の行政法上の許可と認可の概念の認識に誤りがある可能性が高いのに、誰も法的概念に立ち入って質問しようとしないこの国の記者って・・・

>寅さん
現行法ではそうでしょうね。そういう政治的に多分な裁量をかますコントロールをしたいのであれば、法律で「認可」ではなくて「許可」「特許」といった行政行為を要するとすればいいのです。
つまり、学校教育法の改正で対応すべき問題かと。
もっとも、文科省の資料によれば、海外での大学設置に対する行政のコントロールは認可が普通で、許可以上の行政行為にしている国は普通は無いような話でしたが。

投稿: prin | 2012/11/07 14:59

田中大臣の言ている事おかしくないですね。大賛成大学の学生は可哀そう、・・・?どちうして?一般的な話として認可を、降りるものとして見切り発車した(大学、県)当然認可が降りる事を前提に工事発注し認可が下りないからと大騒ぎ子供を盾に子供がかわいそう見切り発車した大学。と県の責任は重い潰れて、行く大学だって沢山ある少子化が進み大学ばかり増え経営が成り立つわけがない国会議員もどうしてダメか説明を求めるもう少しきちんと考えた方が良、ダメな議員ばかり自分の為、選挙に勝つ為にだけ考えているようにしか思えない、真紀子様のに、にくまれても行動して頂ける。真紀子さんの全部が良いとは思わないが一生懸命な感じが感じとれる真紀子さん頑張って!!

投稿: コスモス | 2012/11/07 20:06

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