univ:不認可は伝えたが、不認可処分はしていない
文科省は、3大学不認可問題について、巻き戻しの道を探りだしたようだ。
前川官房長は同日の田中文科相の記者会見の後、補足説明を行った。この中で、2日に同省高等教育局長が3大学に不認可を伝えたことについて、「大学側には認可できないとは伝えたが、不認可処分をするとは伝えていない」と弁明した。
この極めてわかりにくい話に、3大学側は詭弁だと反発していると報じられているが、不認可処分をまだしていないというのは、これから認可される可能性があるということを意味するのであり、むしろ朗報というべきであろう。
しかしながら、田中大臣が記者会見で唐突に語ったという「新しい仕組みを早く立ち上げ、3大学を含めて新しい基準で改めて判断したい」というのは、事実上の撤回宣言なのかもしれないが、それはそれで残念な話である。
来年度開校に間に合わせるスケジュールの再審査では、何らの実質審査もしない、形式的なものにとどまるであろう。いったん不認可を口にした田中大臣の面子をかろうじて潰さないためだけの、設置審再審査の上での認可というプロセスを、いわば無駄に踏むだけではないか。
田中大臣は、大学の乱立により質が低下している現状を憂いて、設置基準や設置審のあり方を再構成しようとしたのではなかったか?
それには時間がかかる。半年や一年では結論が出ないくらいの重大問題だと思うが、その課題には挑戦しないのだろうか?
このままでは、儚い線香花火をちょっとつけてみましたというだけに過ぎなくなる。従来のルールに従って申請した3大学に大きく迷惑をかけてでも大学改革を実行しようとしたように見えたから、それなりに共感もよんだようだが、本来の大学改革をやろうとしないのなら、単にアリバイ的な再審査をするだけで終わってしまえば、全くの期待はずれということになる。
その意味で、田中大臣の面子をかろうじて救おうとする今回の後始末は、残念な結果である。
ま、それでも筋の通らない不認可処分にあくまで固執するよりは、事実上撤回する方が100倍ましだが。
文科省としては、大臣が口走った不認可は間違いだったと素直に認め、今回の申請については従来通りのルールで結論を出し、それとは別に、大学のあり方、設置基準や設置審のあり方を見直す作業に着手するというのが本来なすべきことだったろう。
追記:上記の通りになったようだ。文科省も、そして田中大臣も、過ちを改めるに若くはないということで、実に潔いと評価できる。
NHK:田中文科相 一転して3大学認可へ
田中文部科学大臣は、文部科学省の審議会が来年春の開設を認可すると答申した秋田市、札幌市、愛知県岡崎市の3つの大学の認可を見送ったことについて、「3つの大学について、どこかが悪いとは思っていない。ただ、これまでの仕組みに従い認可するだけでは、いつまでも大学教育を変革できないので、新しい審査基準を作ることで大学教育の質を向上させたいということだ」と述べました。
そして田中大臣は委員会の最後に発言を求められ3つの大学の扱いについて、「大学の設置認可のあり方については、今後、抜本的な見直しを行う。3つの大学の開設については、委員会審議や諸般の事情も鑑み、現行制度にのっとって適切に対応する」と述べ、新たな審査基準を設けて判断するとしていた姿勢を一転させ、今の制度のもとで速やかに認可する考えを示しました。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- news:あの神戸市で組体操を強行し、51人も怪我をさせた(2019.10.08)
- やりがい搾取に根性論で応じるけど、それでいいのかOlympique(2019.08.11)
- Disparue;ティフェンヌ・ベロンさんを探せ(2018.10.30)
- FLASH:山尾しおりさんへの取材が酷いらしい(2017.11.10)
- misc.男が暴れて飛行機が引き返す(2017.07.16)
コメント
田中真紀子は、民主党政権では大学設置改革はできないとわかっていたのでしょう。自民党は当然従来通りの「大学設置・学校法人審議会」のやり方のままがいいでしょうから、もし次が自民党政権になれば、誰も大学設置改革なんて言い出さないでしょうし。高橋洋一氏のコメントがネットにありましたが「2003年に小泉内閣の遠山敦子文科相が現在の設置基準を定めた。それまでは文科相の裁量権で大学数が多い都市部で大学の新設を抑制していた。田中文科相は、その基準を直したかったのだろう。文科省官僚も、内心では今の審査基準では裁量が少ないので、裁量のある以前の基準に戻したいのだろう。そこで、田中文科相を今回支えたのは、文科省官僚にとっても千載一遇のチャンスだったからと考えられなくもない。…」とありました。このままだと、「また田中真紀子がとんちんかんなことをしている」で終わりそうな気もしないでもありません…。
投稿: 寅 | 2012/11/08 18:29