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2012/11/25

Istanbul:家族と暴力に関するカンファレンス(1)

 イスタンブールカンファレンスセンターにて、ジャーナリスト・作家財団の主催により「家族と暴力」に関するシンポジウムが開催された。

 開会に先立ち、会場内の数人の女性グループが主催者側または大臣警護の警察により実力で排除されるというハプニングがあった。同行者の説明によれば、来賓の女性の権利大臣に対して批判的なグループで、随所で批判の声をあげている人たちだということだ。このシンポは一般公開されているが、大臣の安全確保のためであれば予め強制排除も辞さないという管理体制ではある。

Domestic violence addressed at int’l conference of Women's Platform

 極めて後味の悪いハプニングの後、主催者の挨拶に続き、政府関係者のKeyノートスピーチが続いた。トルコ語ではあるが、英語による同時通訳がある。

 その後、ビデオ上映。イスタンブールを行く人々に暴力の原因を聞いていて、人それぞれにジェラシーとか貧困とか答えている。暴力を経験しましたかという質問には多くの人々が、直接または間接的な経験があると答えている。被害者はいつも女性と、そして子供だ。トルコにおいて許されるべきでない犯罪かという質問に、ほとんどyesと答えるが、しかしサンクションはないという人もかなりいる。解決策は、政府の対策や教育を上げる声が多いが、我慢しろという人もいた。

 続いて女性の権利大臣のスピーチ。

 休憩の後、最初のパネルが始まった。最初は国際的な視点からというテーマで、ドイツ人教授とインド人教授、それにポーランド人教授とベルギーの国会議員が登壇した。
 ドイツのクルケ教授はハンナ・アレントやミシェル・フーコーなどを引用して暴力の本質を呈示しつつ、現代の問題としてネオリベラリズムによるグローバリゼーションの弊害を挙げ、ベルリンにおいて始まったDV父の自助グループによる教育プログラムと移民の若者を対象とした芸術教育プログラムに期待を表明して終わった。
 第二のインドのスワミィ教授は、DV被害者のカースト所属を調査し、経済状態や教育、児童虐待との関連性などを統計的に明らかにする報告であった。総じて、経済的に恵まれず、教育程度も低い女性が被害者になりやすいとの結論。
 第三にポーランドのマムザー教授は、心理学者の立場からだが、ポーランド社会における家族間暴力の現状について説明された。統計的にも家庭内の暴力の存在がクローズアップされて、様々な反暴力キャンペーンが紹介された。テレビ広告では、老人虐待について、虐待している若者が年をとって自分が虐待される側に回る様子が生々しく映し出された。あるいは、仲の良い幸せな家庭の食卓と恐怖に支配された食卓とが対比されて、適切な選択を訴えるものなど。
 最後の登壇者はベルギーで初めてヘジャブを着用して議員となった女性、エズドゥミー議員。トルコ語での講演で英語通訳を通じて聞いた。ベルギーの女性に対する暴力対策の法制度は、1991年頃から始まり、1997年にはLis Lawと呼ばれるDV対策法が制定された。その後の実務上の動きやゼロ・トレランス原則などが紹介されたが、女性に対する暴力に関して信頼出来る統計はないという。
パネルのスピーチが終わった後、10分だけディスカッションがあった。エズドゥミー議員は、暴力のないコミュティなどないと答えていたのが印象的であった。またインドのスワミィ教授に対しては経済的暴力の例をもう少し上げて欲しいとの質問があり、特に職のない女性が経済的自由を奪われるという例をあげていた。ポーランドのマムザー教授には啓発ビデオの教育効果はどうかという質問があったが、データがないとのこと。

午後のセッションの最初は、アルバニアのデルビッシ博士。アルバニアの伝統的社会の特質を説明した後、10代の若者に対するテレビの影響を語りはじめた。テレビのみならずインターネットの影響にも言及されているが、家族間の暴力的傾向にも一定の影響が見られるという。これに対してコーディネータのシスマン氏は、簡潔なまとめとテレビの影響に若干の疑問を呈していた。
 第二に、イタリアのペピチェッチ教授のはずだったが、おそらくトルコのナルリ教授が席上から、トルコ語で、トルコのDV問題についてしゃべりはじめた。暴力が重大な影響を与えること、これに対する対策のあり方についてである。
 第三はブラジルのペレイラ教授のプレゼンで、前回のカンファレンスでも見せたビデオとして、娘と妻がお父さんのシートベルトになる広告ビデオを見せ、ついで歩きタバコや怒りのビデオを見せた。そして、TVの悪影響について語りはじめた。ブラジルでは、暴力とセックスシーンの多いテレビ番組は深夜に限られ、また暴力番組の排除のためのチップを導入する法律もあるが、後者は未施行とのことである。
コーディネータは、最後にインターネットもまた新しい影響を暴力的性向に及ぼしている可能性があると締めた。

本日はこれで終わり。夕方、海外からのゲストにはトルコの家庭を訪問して交流するというプログラムが用意されているが、明日はまたシンポである。日本の状況と法制度の紹介は明日。

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