SNSをマルチ商法やネズミ講の温床にしないために
SNSは見知らぬ人々を結びつける可能性で売っているので、当然ながらそこには危険がある。
今までは出会い系サイトの代替になるのではないかという側面が取り上げられてきたが、消費者問題も見逃せない。
この記事では、東京の消費者センターの話として次のように書かれている。
都内の大学で、友人やインターネットの交流サイトフェイスブックなどでつながった知り合いに対して「経済に強くなるセミナー」などと称した『もうけ話』の講座を受講するよう誘い、高額な受講料を支払わせるために学生ローンなどで金を借りさせる勧誘が増えている
フェイスブックは基本的に実名で参加し、リアルな知り合いの間での交流を促進するのが建前だ。
しかし実際には、実名かどうかを確かめる術はなく、友人として互いの書き込みを見せ合う相手はリアルな知り合いに限られるものではない。サイト内のメールに相当するメッセージ機能は、友人指定していない相手にも送ることができるし、公開設定によっては自分の書き込みを誰でも見られる状態になる。
これを上記の建前に戻そうとする試みは一応なされているが、SNSにとって交流相手を制限するのは自分の首を絞めるに等しい。
それに、キャンパス内でのマルチ商法・ネズミ講の広がりは、学生同士の勧誘によるものであり、誰かが最初に引っかかると、その周りの学生が釣り上げられてしまうという構造になっている。
SNSの友人指定がリアルな知り合いに限っていたとしても、その友人がマルチに引っかかると、釣り上げられる可能性は否定出来ない。
加えて、上記の記事に現れたような「経済に強くなるセミナー」とか「就職セミナー」とかだと、そういうのは怪しいからやめておけ、ともいい難い。
この問題は、学生を相手にした無担保のローンがさらに被害を広げている。手持ちの小遣いを巻き上げられただけなら、まだ「高い授業料と思って、これから気をつけろ」ということになるが、借金を背負い、さらには多重債務化していくことで、身の丈を超えた「被害」に遭うことになる。
大学としては、リアルなキャンパス内でのマルチ商法追放にかける啓発活動と同様に、SNSを媒介としたマルチ商法に引っかからないように、そして支払い能力を超えたローンを組まないように、学生たちに呼びかけていくしかない。
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