net:まんべくんの冒険、終わる
まんべくんという長万部町のキャラクターを仮想人格としたツイッターのつぶやきが、最終的に終わるそうだ。
画像は長万部町のウェブサイトより引用。
朝日デジタル:まんべくんツイッター休止へ 長万部町「コメントない」
まんべくんが生まれたのは、上記の長万部町のウェブサイトによれば平成15年であり、かなり古い。
その後、ツイッターが流行りだして、まんべくんというキャラクターによるつぶやきが始まったのが平成22年。これは長万部町出身の社長がいる会社が長万部町から商標権使用許可を得て、ツイートだけでなくまんべくん関連イベントうなど幅広く広告宣伝活動を行う一環として行われた。
奔放なキャラクターとして人気を集めたが、戦争を題材とするツイートが反感を呼び、クレーム殺到で休止の憂き目に合う。
実はまんべくんの公式ブログというのもまだ残っていて、それによれば休止のお詫びが2011(平成23)年8月のことだから、わずか1年しか保たなかったことになる。
画像は、その公式ブログの最初のエントリ。意気揚々として見える。
上記の戦争を題材としたツイートというのは、上記ブログのコメント欄に残された「経緯」というのを見ると、次のようなものだったらしい。
「日本の犠牲者310万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数2千万人」
「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」
もちろんこれだけではなく、以前から、地方自治体の「公式」キャラクターとしては珍しく尖ったキャラというか、毒舌キャラとして勇名を馳せていて、それだけに反感も集まっていたが、侵略戦争発言がきっかけとなって炎上、抗議電話という名の嫌がらせが長万部町などに殺到したらしく、耐えられなくなった町が商標権使用を取り消したというに至ったのである。
その後、町の承認を得ないままツイートを復活するも、うまく行かず、今回まんべくん名義でのツイートはやめるというに至った。
この経緯を振り返って感じることは、色々あるが、以下の三点が重要だ。
一つは、日本が侵略戦争として太平洋戦争・支那事変・満州事変等を行ったということが、少なくともネット上ではタブーのように扱われ、しかもそれが現実社会でもタブー化しているという事実が顕著に現れている。
インターネットが自由な言論空間を作り出すという理想を素朴に信じていたのだが、むしろ逆に、タブーを増大強化しているようである。
第二に町おこしとしてゆるキャラを使い、SNSと連動させることの困難さである。麻生元首相お得意の言い回しで「キャラが立っている」のでないと、ツイートしても無視されるだけである。しかし尖ったキャラをやりすぎると、今回のような事態になる。もちろんネットタブーになんら抗することなく、事なかれ主義的対応をするから悪いという面もあるだろうが、それにしてもSNSやインターネットを活用することのリスクは無視できない。
第三に、やや遠い筋かもしれないが、表現行為と知的財産との衝突の一場面としても興味深い。公式キャラクターであれなんであれ、ツイートはツイートする人個人、あるいはアカウント所有主体の表現行為であるから、本来は自由なはずである。もちろん言論の自由は責任を伴うので、反論や批判・避難のたぐいが返ってくることは当然覚悟しなければならない。しかし犯罪や他人の権利の侵害に当たらない限り、暴力や圧力をもっても、法律を持ってしても、止めさせることはできない。プラットフォームすなわちツイッター社との契約に縛られることはまた別論だ。
ところが、今回の経緯は、長万部町が、まんべくんの商標使用許可を、まさにツイート内容を根拠として取り消すことで、その発言を封じるということになっている。
地方自治体も公の権力である以上、憲法を順守しなければならないし、基本的人権を侵害してはいけない。商標使用許可という権限を与えたり与えなかったりということを、他者の発言内容を基準として左右するのは、表現の自由に対する直接の侵害行為ではないか。
これは、公共施設の使用許可を政治的な意図で特定の団体に与えたり与えなかったりする事例とも共通するように思われる。
ま、この第三の部分は、事実関係に合致しているかどうかが疑問なところがあり、商標使用許可とツイートとの関係も微妙なので、まんべくんの実際の事件では違っていたということなら、仮想設例として考えてもらいたい。
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コメント
長万部町へ問い合わせしたら
ツッターは許可してないので、中止命令も出していないそうですよ
大人の事情での中止だそうです
投稿: 長万部まんべ | 2012/11/01 17:12
長万部町へ問い合わせしたら
ツッターは許可してないので、中止命令も出していないそうですよ
大人の事情での中止だそうです
投稿: 長万部まんべ | 2012/11/01 17:13