Book:ハーバード白熱日本史教室
とある弁護士さんから「読んでる?」と聞かれ、「読んでません」といったら、「だから大学のセンセイはダメなんだよ」と切り捨てられた後に本屋に行ったら平積みとなっていたので買ってみた。
カナダに留学していた著者は、ハーバード大学のThe Samuraiという夏季集中授業を履修し、そこで覚えた違和感を発展させて、日本史の専攻でプリンストン大学修士・博士をでて日本史研究者となり、ハーバード大学東アジア学部講師となった。
その彼女が担当した授業は、Lady SamuraiとKYOTO。いずれも安土桃山時代前後の日本中世・近世史を扱うものだが、Lady Samuraiは男性たるSamurai社会の歴史を女性の登場人物にスポットを当てて捉え直すというもので、主役は秀吉の妻ねね(ねいと表記される)である。またKYOTOは、安土桃山時代前後で大変貌する京都の都市歴史を一時史料に当たって解明し、これに当時の外交関係を絡めて、日本史の一側面を明らかにするというものだ。
この二つの授業、東アジア学を専攻する学生数が、副専攻も含めて二桁という弱小学部で開かれ、学部生の授業が大体一桁の受講生しかいないという環境で開かれ、一年目のLady Samuraiは16人の受講生だった。
ところが、二年目には104人が登録するという人気授業となり、三年目のKYOTOの授業は136人もの受講生を集めるに至り、学生によるフェイバリット・プロフェッサーにも選出されるまでになった。
その秘密は、いわゆるアクティブ・ラーニングの授業手法にあるというわけである。
弱冠30歳少々の北川智子先生がハーバード大学を魅了した授業の姿は、本書で、Lady SamuraiとKYOTOのそれぞれについて詳しく述べられている。
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