Social Security:生活保護についてのあさイチ特集
今朝のNHKあさイチで室井佑月がすごくいいことを言っている。
「生活保護の不正受給はもちろん良くないが、その割合はわずかなもの。判明分で0.4%。ほとんどは不正ではないのに、不正受給を強調することで、全部が不正であるかのような目で見られ、保護をほんとうに必要にしている人たちが保護を受けられなくなる。
親の扶養義務という点についても、貧乏な家に生まれた子どもと裕福な家庭に生まれた子どもとの不公平を拡大することになるから、扶養義務を強化するのは妥当ではない。
大体お年寄りの生活保護が拡大しているのに対して子どもの責任だとするのは、時代に逆行している。子ども世代は現に働いて税金を納めているのに対して、お年寄り世代はこれまで長年働いてきて税金を納めてきたのだから、社会・国が面倒を見るべき。
それに、まともに働いて得た給料で税金を引かれ、社会保障を引かれ、医療費を支出したりすると、生活保護世帯より生活が苦しくなるという現実に対して、生活保護がおかしいというのではなくて、最低賃金が低すぎるのであって、最低賃金を上げて働けば働いただけ良い生活が出来るという社会にすべき。」
以上はテレビを聞きながら聞き取った要旨であり、聞き取る側の主観もかなり入り込んでいるかもしれない。が、テレビ番組で、タレントとしてゲスト出演したのに、これなら有識者ゲストは必要なしと思うくらいのまともぶりだ。
上記のいずれも、若干の留保は必要だろう。まず不正受給の問題は、やはり問題であり、特に暴力団などの不正受給問題を放置しておくのはよろしくない。生活保護受給者にたかる貧困ビジネスどもの問題も、不正受給との隣接領域であり、実態解明と責任追及は絶対必要だ。
扶養義務の問題も、民法が扶養義務を定めている以上は全く否定することは出来ない。もちろん子ども自身が生活に余裕がないとか、虐待歴のある親とかの場合に考慮する必要はあるが、それは現行実務でもかなり考慮されているのではないか。
最後の最低賃金の問題も、いきなり最低賃金を上げて企業が困れば雇用に跳ね返るという論理に反論は難しい。生活保護では当然に免除される社会保障や医療費などの補助を、非生活保護受給者の低所得者層にも拡大し、その埋め合わせは所得税の累進強化に求めたらよいと思う。
付け加えるとすれば、現在の生活保護の拡大状況は小泉竹中の構造改革路線の当然の帰結であって、派遣労働を大幅解禁して不安定雇用を拡大すれば失業の可能性も増大する。そのことは規制緩和による経済活性化の当然の副産物であり、竹中氏が大臣答弁で「セーフティネット」を散々強調していたように、全くの想定内なのである。
そのツケは、規制緩和で潤った層が負うのが当然なのだ。
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コメント
室井発言のどこがいいことを言っているのかわかりません。
不正受給の割合なんて、公表されているものが本当に正しい数字なんでしょうか?そもそも、議員や特殊な団体(宗教団体や、民族団体、XX解放同盟)の口利きがあれば簡単に受給できる状態で、受給開始後はほとんどチェックはなく、支給の期間も無期限(就職活動なんかするひとは皆無でしょう)。パチンコで時間をつぶしている人が1%もいない?
それでどうして生活保護専門の病院なんてものが各地にいくつも存在しているのでしょうか?普通の病院にも生活保護者がウジャウジャ。
むしろ、本当に生活保護を必要としている人があれだけいるのかと考えるほうがふつうなのでは?
「金持ちの子と貧乏人の子は格差が」当たり前でしょう。親が働いている絶対量やそもそもの素地(学歴など)が違うんですから。
そもそも生活保護を受けるという事態が異常であり、そんな状態に陥った人はある程度切り捨てられて当然なんですよ。じゃないと真面目に働く人が可哀そうでしょう。報われるべきは、生活保護を受ける人、よりもまじめに働いている人です。
投稿: 熊子 | 2012/07/18 13:21
この番組私も観ていました。「なかなかしっかりしたことを言うなー」と感心しました。
但し、本来なら生活保護を受けるべきでない人の受給には疑問を持ちます。
つい最近3月ごろ45歳の男性離婚して一人暮らしのパチンコ三昧。会社を辞めた後職が見つからないので保護を受けたい・・・とのこと。
民生委員は「東北の震災地は人手が足りないと言っているから行ってみたらどうか」「寒いから行きたくない」全く仕事をする気がない様子。
「こういうのに自分の収めた税金が使われているのかと思うと嫌になる」とは民生委員の弁。
結局45歳の男は保護を受けることになった由。どうなっているのでしょう?
投稿: プチリンコ | 2012/07/18 13:39
その番組は見ていませんでしたが、確かに、室井佑月さんは、生活者の地点からの発言が多いと思います。地に足をつけた、バランス感覚のよい発言が多いです。お子さんを育てていらっしゃるのも、原因だと感じます。それは、人間としての強味でしょう。
投稿: amemiya syun | 2012/07/18 17:01