news:携帯電話販売店の背信
携帯電話大手のソフトバンクの顧客情報が漏れていた事件で、最大手のNTTドコモやKDDI(au)の顧客情報も探偵業界で売買されていることがわかった。携帯電話の契約台数は1億2千万台を超えて国民1人に1台の時代だが、個人情報が漏洩(ろうえい)の危険にさらされている深刻な状況にあり、愛知県警は大手3社に捜査協力を求め、実態解明に乗り出した。
従来、携帯電話契約の顧客情報は、警察が捜査のために照会しても答えず、令状もってこい、という対応だった。
特定の通信と結びついた顧客情報は、通信の秘密により特に保護されているとして、開示すれば刑事罰も課されるとして、特定の通信により被害を受けた者が発信者を特定しようと問い合わせてももちろんダメで、そのために特別法を作ったくらいだった。
携帯電話契約の情報は、青少年保護を徹底する場合に必要となる年齢情報も含まれるし、これを利用することを巡ってもかなりの抵抗があった。今でも乱用される危険は消えていない。
ところが、金さえ払えば販売代理店の従業員が店のコンピュータからチャチャッと盗みだして売ってくれるとは。
ちなみに、販売店は、特に各電話会社の看板を背負った販売店は、各電話会社の直営店に見えるが、現在は直営の販売店はなく、電話会社が契約した別の会社の運営による代理店であり、それも電話会社から直接代理店契約を受けた会社がさらに別の会社と代理店契約を結ぶ二次代理店ということもある。
それに加えて個々の従業員が代理店に雇用されているかというと、それもまた場合により、必ずしも代理店の正規雇用社員とは限らない。
そのような状況のもとで、携帯電話契約の内容それ自体の十分な理解と説明能力があるかどうか疑問なケースがあり、それが消費者トラブルを引き起こしている。
そして今回のケースのように、顧客情報を売り渡すといった行為に手をそめているケースが、摘発されたところだけでなく、他にもあるとすれば、それは現場の不安定雇用に一因があると言えそうである。
このような構造的な要因があるのだとすれば、単に罰則を強化したりしても、なかなか防止は難しい。そして現場から情報が漏洩するのだとすれば、大金をかけて整備したプライバシーポリシーは全くの空証文となろう。
目を背けてはならない問題だが、解決が難しい問題でもある。そういう問題はなかったことにして、取り敢えず利便性を優先したり、対策にならない対策で解決したと言い張ったり、昨今の原発利用をめぐる議論にも現れている対応で済まされそうな感じがして嫌だ。
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