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2012/07/08

media:中日新聞が岐阜刑務所から排除

2012年7月8日付け東京新聞の紙媒体に掲載されていたニュースによれば、岐阜刑務所が回覧新聞を地元紙、すなわち中日新聞から、全国紙に変更したという。

その理由は、受刑者アンケートで前年までトップだった中日新聞から、今年2月のアンケートでは別の全国紙がトップとなったため、そちらに変えたということである。

ところが、受刑者から東京新聞(中日新聞)特報部に届いた手紙によれば、「誰も望んでいないのに、●●新聞に変更すると言いだした。これまでは必ずアンケートをとった上で変更していたのに」ということである。

これについて東京新聞(中日新聞)では、この一年10回近く岐阜刑務所のトラブルや問題点についての記事を掲載してきており、これが疎まれたからではないかと推測している。

監獄人権センターの田鎖弁護士の談として、批判的記事が多いと黒塗りや切り抜きに手間がかかり、そういうのが多い新聞は取りたくなくなるという心理も紹介している。


こうした問題は、メディアを取り巻く問題として重要であろう。
昨今はマスコミに対する批判が声高に唱えられており、いわゆる記者クラブを媒介項として権力との癒着・慣れ合い構造が見られるなどとされている。
そのこと自体は私も問題があると思うし、いわゆる発表ジャーナリズムと揶揄されるのは司法関係の記事に顕著に見られ、冤罪発生の片棒を担いでいるとさえ言える。

しかし、その問題性を認識した上で、マスコミ批判に没入するのは、やはり何処か違う。
マスコミが自らの役割を果たさず、情報をくれる権力と馴れ合い構造になっているとすれば、それを批判することはもちろん必要だが、批判が過ぎてマスコミの存在自体を否定するというのは、たらいの水とともに赤子を流すようなものである。

馴れ合い構造があるとすれば、そのような構造に陥る原因を問題視する必要がある。
マスコミが独立した立場で事実を調査し、分析し、報道する自由な存在であることこそが、とりわけ権力に対峙する存立基盤となりうる。

その自主性・独立性を損なう要因は排除すべきである。
内容的な問題に批判を加えることは、相手がマスコミであっても歓迎すべきことだが、その方法として、経営面や流通過程での制裁を加えることは、たとえ出発点が内容的な問題指摘だったとしても、問答無用の効果をもたらす。その種の、やってはならない攻撃手段として思い浮かぶのは以下のとおり。
1. スポンサーが広告費を脅しの種に使って報道内容に介入する
2. 公権力が、報道内容によって取扱いを変える。特に公権力に阿るか楯突くかで待遇を変える
3. メディアの属する企業グループが、そのグループ自身に対する不都合な報道を抑圧する。

1はもう日常茶飯事かも知れないが、最近ではいわゆる原子力ムラのマスコミへの影響力に関連してクローズアップされた。
3は、日本ではメディアの資本構成に対する規制がなく、読売新聞社の社主に逆らったものは読売グループ全体から抑圧され、それに味方する者も同じ目に遭うなどの事例で顕著に見られる。

岐阜刑務所の今回の扱いは2に当たるだろう。

こうしたメディアの弱さを突く権力の行動には、常に敏感になり、その可能性に対しては不断の警戒を怠らないようにすべきだし、権力の濫用にメディアが晒されているときは、メディアの側にたってサポートすることが、マスコミの本来の役割を取り戻す一助となろう。
ひいては、言論表現の自由の実質的な保障につながるものと思われる。

(追記)
なお、中日新聞があえて排除されたわけではないかもしれない可能性を指摘するものとして、トラックバックされた弁護士田中智之ブログもご参照。

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» 岐阜刑務所の回覧紙変更 [弁護士田中智之ブログ]
二ヶ月ほど前のことですが、今年7月8日に、中日新聞が「こちら特報部」というコーナーで、中日新聞が、一年間で、10回近く、岐阜刑務所のトラブルや問題点について記事掲載をしてきたことから、岐阜刑務所に疎まれて、岐阜刑務所が、受刑者が所内での回覧して読む新聞を、中日新聞から、全国紙に変更したのではないかとの記事を報じました(北大の町村泰貴教授の7月8日のMatimulog 「media:中日新聞が岐阜刑務所から排除 」を参照下さい)。この中日新聞の元記事(朝刊 26頁 特報1面 (全1,260字)) のタ... [続きを読む]

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