decision:ニコンに対し従軍慰安婦写真展への会場使用を命じる仮処分。保全抗告も棄却。
このニュースを見るまでは、新宿のニコンで元従軍慰安婦写真展なるものが行われていることは知らなかったのだが、例によって反日だの売国だのと難癖をつける連中のお陰で、裁判沙汰になり、新聞沙汰にもなったことで知るに至った次第。
少し長いが、ネット上の記事を全文引用しよう。
元朝鮮人従軍慰安婦に関する写真展をめぐり、東京地裁(福島政幸裁判長)は、いったん中止を決めたニコンに会場を使用させるよう命じた6月22日の仮処分決定を支持し、ニコンの異議を退ける決定を出した。写真展は予定通り6月26日から東京・新宿のニコンサロンで開かれており、継続される見込み。写真展を開いている韓国人写真家の安世鴻(アン・セホン)さんによると、決定は6月29日付。会場の使用契約は成立していたと認定し、「ニコンは会場を使用させる義務がある」と判断。ニコン側の「『写真文化の向上』という会場使用の目的に反する」との主張も退けた。
写真展をめぐっては、ネット上で「売国的な展示で国益に反する」といった批判が広がり、開催決定後の5月22日、ニコンが安さんに中止を通告。だが会場を使用させるよう命じる仮処分決定が出ていた。
この問題に関しては、どうしても高輪のプリンスホテルが日教組の教研集会に会場使用を認めておきながら、右翼の抗議に屈して予約を撤回し、裁判所の仮処分にも従わず、賠償責任を負担したという前例を思い起こしてしまう。
日教組の教研集会と従軍慰安婦写真展とで対象の性質が随分違うが、少なくとも右翼が文句をつけそうな催しであることは間違いない。で、お決まりのコースをたどったようだが、裁判所の仮処分に従ったという点では、プリンスホテルに比べて最低限のコンプライアンスをニコンは備えていると評価できる。
それにしても、会場使用を撤回することに関しては、BLOGOSに転載されたBill McCrearyという人の「新宿のニコンサロンに、元従軍慰安婦関係の写真展を見に行った」が正鵠を得ているので、それにすべて譲る。
表現の自由ということに、全く鈍感な世の中において、裁判所は人権の砦であり、多数決主義の外側にあるという制度設計をありがたく思う。また、憲法が国と国民との間を規律するという常識について、そろそろ根本的に見直す必要を強く感じる事件でもある。
なお、内容的な批判をするかどうかはもちろん自由であり、それは否定出来ない。表現行為には批判も含めて評価が下されるのがつきものだからだ。その意味で、「表現の自由は責任を伴う」のである。
でも内容的な評価をするなら、まず中身を見てみないと。元「従軍慰安婦」というキーワードに脊髄反射して非難する(あるいは擁護する)というのは、程度が低すぎる。
ということで、場所と時間をメモしておこう。
写真展スケジュール
6/26 (火) ~7/9 (月) 安世鴻写真展は諸般の事情により中止することといたしておりましたが、東京地方裁判所から、「ニコンサロンを安世鴻氏の写真展のために仮に使用させなければならない」との仮処分が発令されましたので、これに従って、安世鴻氏に対し新宿ニコンサロンを仮にご使用いただくことといたしました。(現在、東京高等裁判所へ保全抗告を申立中です)
場所→新宿エルタワー28F
営業時間 10:30~18:30
追記:仮処分に不服を申し立てたニコン側の保全抗告も、7月5日付けで棄却された。
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