Cyber:サイバー犯罪条約に 正式加盟手続を始める
今朝のNHKニュースによれば、日本政府はサイバー犯罪条約への正式加盟手続を進めることとなったとのこと。
条約の批准自体は、平成16年に既に国会で可決承認されていた。そして今年の6月26日にサイバー犯罪条約の受諾に関する閣議決定がなされ、上記のニュースに至ったわけである。サイバー犯罪条約自体が欧州評議会で採択されたのが平成13年(2001年)というから、今世紀の初年であり、以来12年でようやく日本も加入することになる。
サイバー犯罪条約の中身は、外務省サイトに訳文PDFがあるので、それを参照してほしい。
欧州評議会のサイトによれば、現在、35カ国で批准発効しており、書名はしたが批准の手続が未了の国が15ヶ国ある。このうちの一つが我が日本であった。
また欧州評議会の構成国はEUなどよりかなり広いのだが、欧州評議会の構成国以外でもこの条約に参加することを表明している国が12ヶ国あり、そのうち批准発効しているのがアメリカ(2007に発効)、日本はアメリカに続いて二カ国目の発効を目指すわけだ。他に欧州評議会の非構成国で署名するにとどまっているのが、カナダ、南アフリカ、そして日本である。
この条約に基づいて、国内法整備として実施されたのが、昨年の刑法・刑事訴訟法改正であり、ウィルス作成・提供罪が新設されたため、早速プライバシー抜き取りアプリに適用がされている。この改正法については、法務省の「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」のページに立法準備資料が掲載されている。
この法律の中には、サイバー犯罪条約関連だけでなく、強制執行妨害罪の強化充実も含まれており、その点でも要チェックだが、取り敢えずサイバー犯罪条約関係では以下の項目が重要だ。
不正指令電磁的記録作成等 刑法168条の2
不正指令電磁的記録取得等 168条の3
わいせつな電磁的記録に係る記録媒体等の頒布等 刑法175条
電子計算機損壊等業務妨害の罪の未遂 刑法234条の2第2項
差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体からの複写 刑訴法99条、218条、107条、219条
記録命令付き差押え 刑訴法99条の2、218条、107条、219条
電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法 刑訴法110条の2、123条、222条
電磁的記録に係る記録媒体の差押状の執行を受ける者等への協力要請 刑訴法111条の2、142条、222条
保全要請等 刑訴法197条
電子的記録の没収に関する規定 刑訴法498条の2
共助の要請に係る没収保全請求等に関する検察官の処分 組織犯罪処罰法71条
刑事事件における第三者所有物没収手続の電磁的記録への対処 第三者所有物没収応急措置法1条の2
国際的捜査共助の拡大 国際捜査共助法8条
不正アクセス禁止法の罪を国外犯とする規定 不正アクセス禁止法8条
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